まっちの絵具が気になる、ぜひレビューして欲しい!との声を頂きましたので、レビューをしたいと思います。初心者にも、プロの方にもおすすめできる素晴らしい絵具でした!
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まっちとは
まっちは日本の水彩絵具メーカーです。ホルベインやターナークサカベのようにメジャーなブランドではありませんが、独自の感触と色の鮮やかさを持っていて、取扱店が少ないにも関わらず、ファンが多く、愛用者が多いです。
最初は「まっち」という名前とチューブの形状から「子供向きの水彩絵具?」と思っていたのですが、とんでもない!高クオリティの本格的な絵具でした。プロにも初心者にもどちらにもおすすめできる絵具です。
まっちは色数は少ないですが、一色ずつがとても鮮やかで、混色によって色の鮮やかさが失われにくく、少ない色数でもじゅうぶん色作りができます。
混色向きの絵具らしいよ!
まっちの水彩絵具は、あまり画材店で取り扱いがなく、通販での購入がメインとなります。
実店舗では、toolsには取り扱いがあります。
入手がしずらいのが難点ですが、今はネット通販でなんでも手に入る時代。気になる方はぜひ、通販を利用してみてください。記事の後半でご紹介します。
私は今回、ホネ山さん(@jam732142)に分けていただきました。
その後、自分でも御茶ノ水のtoolsで購入しました。
まっち絵具の種類
まっちには色々なシリーズがあることも、今回初めて知りました。全部で、5種類あるみたいです。今回はマッチベイシックカラーをご紹介します。
マッチベイシックカラー
基本の絵具。混色に適した全13色。
10ml 286円
はっきりした鮮やかな色が多いです。
全ラインナップの中で、1番顔料濃度も高く、粒子が細かい。
彩度がとても高い。
三原色セット、10色セット、12色セット、13色セットがあります
単色ずつでも購入可能。
マッチブライトカラー
全20色
12ml 165円
ベイシックカラーに比べると中間色が多くて、彩度も少し低めだそう。
みかんいろやむらさき、きみどり、グレーなど、マッチベイシックカラーにはない色もあります。
顔料濃度はベイシックカラーの1/3とのこと。(一般的な絵具と同程度)
8色セット、12色セット、20色セット
単色ずつでも購入可能
マッチレインボーカラー
全19色
12ml 132円
クリアな発色のベイシックカラー、ブライトカラーと比べると、ややマットな色合いだそう(マットってどういうことかな?やや不透明なのかな)
乾かして固形水彩として使えるとのこと。
12色セット、19色セットの販売あり。
単色でも購入可能
マッチカラー
全19色
12ml 121円
レインボーと同じようにマットな質感。子供でも使いやすいよう明るい色の中間色が豊富。
子供用という位置付けらしい。乾かして固形水彩として使用可能。
12色セット、19色セットがあります。
単色でも購入可能
マッチポスターカラー
全17色
10ml 198円
ベイシックカラー、ブライトカラー、レインボーカラー、マッチカラーは透明感があるが、マッチポスターカラーは完全に不透明の水彩。なので上から色を塗ると覆い隠すそうです。
際立った鮮やかさがありながら、耐光性耐久性にも優れています。
使われている顔料は、上記の透明水彩のものと同じなので、混色しても彩度が落ちない点は同じだということです。
三原色セット、9色セット、12色セットがあります。
マッチベイシックカラーの色見本
マッチベイシックカラーが、一番顔料密度が高く、色もクリアだということです。
早速、絵具を塗って色見本を作ってみました。
画像では、分かりにくいですが、まっちの水彩絵具はとても色が鮮やか。驚くほどです!
13色しかないので、すぐに塗り終わりました。
マッチベイシックカラーの顔料(追記2021/05/19)
まっちに「水彩絵具に使われている顔料を教えてください」という問い合わせをしたところ、回答を頂けましたので、こちらに記載しておきますね。
色名 | 顔料 |
レモンイエロー | PY17,PW6 |
イエロー | PY14,PW6,PR268,PR208 |
イエローオーカー | PY17,PW6,PR101,PG7 |
バーミリオン | PR268,PR208 |
カーマイン | PR12,PR268,PR208 |
マゼンタ | PR12 |
ウルトラマリン | PB29 |
ブルー | PB15:3 |
グリーン | PG7 |
イエローグリーン | PY17,PW6,PG7 |
ブラウン | PR101 |
ブラック | PBk7 |
ホワイト | PW6 |
マッチベイシックカラーの耐光性について(追記2021/5/19)
まっちの水彩絵具は耐光性表示がないので、「耐光性」についてまっちに問い合わせをしてみました。
このような回答をいただきましたので、引用したいと思います。(許可を頂きました)
弊社は耐光性レベルの表記はしておりませんが、
一般的な透明水彩絵の具と同等以上の堅牢性を確保しており、高いレベルと判断しております。
但し、まっち絵の具の理念として安全性と安価なものを求めていますので
重金属類の顔料は使用しておりません。
したがって、それらを使用している絵の具に対しては、必然的に劣っております。
しかし、窓際で直射日光に当たり続けたり、高温になるなどの
過酷な環境に放置しなければ問題なくご使用になれます。
完成した作品は出来れば紫外線吸収ガラスの額に入れて頂ければより安心です
とのことでした!通常使用するには問題ないのではないかと思います。
特に、グリーン、ブルー、ウルトラマリン、ブラウン、ブラック、ホワイトはどのメーカーも扱う耐光性の高い顔料なので全く問題ないと思います。
ただ、マゼンタに関しては、個人的に耐光性テストをしたところ、他の色に比べると耐光性が低く色が少しくすんでしまうことが分かったので、描いた絵を長期保存したいという場合にはたくさん使わない方がいいかもしれません。
またわかったことがあったら追記します。
マッチベイシックカラーの特徴
ものすごく滑らか!
驚くほど滑らかです!!
ここまで滑らかな絵具は初めてなので、びっくりしました。
これはすごい!
筆のタッチがほとんど残りません。カラーインクやマーカーで塗っているような錯覚さえ覚えます。
特にウルトラマリンは、粒子が荒い顔料の絵具なので、紙の目を反映したり、色が粗密になってしまうのですが、マッチベイシックカラーのウルトラマリンはものすごく滑らかです!
今まで様々なメーカーのウルトラマリンを塗ってきましたが、マッチのウルトラマリンが1番滑らかです。群を抜いている!
他の色も全て滑らかで、粒子の大きさが揃えられていると感じました。黒も塗りムラがでやすい色ですが、マッチのブラックは恐ろしく滑らかです。
色はとても鮮やか、濃すぎない
色はとても鮮やかです。
特にマゼンタの彩度がおかしい(いい意味で)です。この色は初めてみましたが、驚きの鮮やかさです。
他の色と比べると耐光性は低めなのですが、もし描いた絵を販売しないのであれば、おすすめの色です(今のところ通常の使用であれば問題なさそうです)あとで解説しますが、混色の時に鮮やかな色が作れる便利な色でした。
どの色も鮮やかではありますが、色は濃すぎないので、深みはありません。なので、混色の時に相手の色を潰さないような感じです。
全体として透明度も高いので、クリアな印象です。イエローオーカーは他のメーカーのものだと不透明でくすんでいますが、まっちのイエローオーカーはとても明るい色で、透明度も高めです(顔料も違います)
どの色も澄んでいて、明るい色!
気持ちも明るくなる♪
グリーンはフタログリーン(PG7)、ブルーはフタロブルー(PB15:3)ですが、こちらも一段階色が鮮やかで、混色して作った色も彩度が落ちにくかったです。とても不思議でした。
顔料密度が高い
HPでは、顔料密度のことが触れられていましたが、確かに密度の高さを感じます。
少しの絵具で、たくさん塗り広げることができます。伸びも良く、顔料も濃い印象です。割と燃費が良さそうなので、中々なくならなそうです。
顔料密度が高く、かつ滑らかさがあるので、水で薄めた時にも物足りない感じになりにくいです。
しっかり紙に色が残ります。
色数が少ない
元々、少ない色数で、色を混色して作ることを想定しているような感じなので、色数は少ないです。
ベイシックカラーは13色のみ。
しかし、分かりやすくていいなあと思いました。100色のラインナップから、最適な色を選ぶのは知識もいるし、迷いもありますが、マッチベイシックカラーのラインナップは13色だけなので、特に迷うことはありません。他のシリーズも色数は少なめです。
絵具の色選びって難しいもんね
ただ、茶色だけが、赤茶色のみなので、ブライトカラーの方からこげちゃいろをゲットしておきたいところです。(もしかしたら、茶色系はこの粒子の細かさが実現できないのかも)
少ない色数で混色を覚えて、色の幅、表現の幅を広げよう、という私のブログのコンセプトとも通じるものがあります。
値段が安すぎる
まっちの絵具は全体的に値段が安すぎます。
1番高価なシリーズマッチベイシックカラーでも、10mlで286円です。
念のため言っておきますが…5mlチューブの値段ではないんです!
10mlチューブの値段です。
5ml換算すると…143円!
こんなに高クオリティの絵具がこんなお値段でほんとにいいのでしょうか??何か間違ってませんかね?
本当にいいの?
この滑らかさは、シュミンケホラダムに匹敵するのでは…それにしてもコスパが良すぎます。日本で買える透明水彩の中でもトップクラスの低価格です。
マッチベイシックカラーのおすすめ色
まっちの絵具、興味あるから何色か買い足してみようかな
という方におすすめの色を紹介しますね。
1番のおすすめは、ウルトラマリンです。ウルトラマリンはかならずどのメーカーでも売っている絵具で、粒子が粗い色です。
ですが、先程紹介した通り、まっちのウルトラマリンは粒子が細かめです。おどろくほど滑らかで、ほかの色と混色するときも分離しにくいです。
私もパレットのウルトラマリンをまっちのウルトラマリンに入れ替える予定です。そのくらい気に入ってしまいました!
同じくらいおすすめなのが、マゼンタです。色々なメーカーの絵具を試してきましたが、まっちのマゼンタの色は初めて見る色です。
オペラ並みの鮮やかさがありますが、オペラよりも色が深いので、汎用性が高いです。混色でも、とても鮮やかな紫ができるので重宝します。
ブラックもおすすめですね。一般的に、黒はザラっとして塗りムラができるような色が多いですが、まっちのブラックは滑らかさが群を抜いていて、ほかの鮮やかな色ともしっくり混ざります。そのためか、鈍い色になりすぎず、絶妙な暗色ができます。ふだんは黒は使わない、という方にもこの黒はおすすめしたいです。
他にもブルー、グリーン、イエロー、カーマイン、バーミリオンもとても鮮やかできれいです。
どの色も捨て難い…
ちなみにウルトラマリンとマゼンタは購入しました!
マッチベイシックカラーの三原色を紹介!
マッチベイシックカラーには三原色のセット販売があるので、三原色について紹介したいと思います。
マッチベイシックカラーの三原色は。。
マゼンタ、イエロー、ブルー(シアン)の3色です。
イエローとブルーは普通なんですが、マゼンタの彩度がオカシイ(いい意味で)ので、三原色での色作りも素晴らしい結果が出ました。
マゼンタの彩度は、他のメーカーの三原色のマゼンタ(に指定されている色)よりも、遥かに鮮やかなため、とにかく混色した色も鮮やかです。
マゼンタ+イエロー
とても鮮やかなオレンジに。黄色も強さがあるので、色が薄まりません。
イエロー+シアン(ブルー)
三原色を混色していてよく思うのは黄色と青の顔料の相性の悪さです。しっくり混ざらないことが多いのですが。マッチのイエローとブルーは粒子の細かさが揃えられているのか?とてもきれいに混ざりました。特に黄緑付近がとても鮮やか。素晴らしいとしか言いようがありません。
ブルー+マゼンタ
これが1番差が出るだろうと予想はしていました。やはり…マッチのマゼンタは、オペラのような鮮やかさでありながら、オペラよりも濃さのある色なので、作った紫が本当に美しくできました。今までで1番と言ってもいいかも。。次の章で詳しく検証します。
もちろん、3色からくすんだ色も作ることができます。大切なのは鮮やかな混色ができる絵具から、渋い色を作ることは簡単にできても、逆はできない、ということです。マッチの三原色は作れる色の幅が広く、しかもきれいにしっくり混ざるため、色作りがしやすいです。とても勉強になると思います。
ウィンザー&ニュートンの三原色
ホルベインの三原色も試しています。
比較してみると、やはり少し発色は違います。マッチの三原色が1番鮮やかです。
特に青と赤の混色(紫)で差が出ています。
紫の混色について
赤と青で紫を作る、というのは絵具ではとても難しいことです。
どうやら赤の顔料に濁りがあるようで、かなり赤絵具を選ばないと鮮やかな紫を作ることができません。
どの順番に鮮やかな紫を作ることができるのか、検証した記事がありますので、ぜひ読んでみてください。
今回のマッチのマゼンタは、この記事で紹介している物よりも、満足度が高かったです。
マッチの絵具で、1番鮮やかな紫ができる組み合わせはこれです↓
マゼンタ×ウルトラマリン
驚きなのが、全く分離していないこと!この組み合わせは多くの場合分離します。ウルトラマリンの粒子は大きめで、マゼンタ系の粒子は小さめなので。マッチのウルトラマリンは粒子がかなり細かいみたいです。
めちゃめちゃ鮮やかな紫ができています。そしてオペラの物と比べて自然な色味。そして深みがあります。
その次に鮮やかなのが、
マゼンタ×ブルー(シアン)
さっきの三原色で試した組み合わせですね。こちらは少しだけ彩度が落ちるはずで…
ん?あまり彩度落ちていないですね。
よく見ると少しだけウルトラマリンの方が鮮やかなのですが、そこまでは差が出なかったです。何故なのか?よくわかりません。どちらの顔料も純度が高いのでしょうね〜
本当にきれいです。肉眼でしか分からないものもありますが。素晴らしい発色とテクスチャーです。完全に惚れました。
鮮やかな紫を作る記事です。鮮やかな紫を作るのが、どんなに難しいか…わかって頂けると思います↓
その他の色の混色について
こんな感じです。色々混ぜてみました。もちろんくすんだ色味もたくさん作れます。くすませようと思ったらいくらでも!
マッチベイシックカラーで混色すると、思ったより彩度が落ちないことに驚きます。
2色混色ではそこまで色がくすみませんでした。
茶色が赤茶色だけなのが、ちょっと困るかな、と思ったけれど、混色で色々な茶色が作れました。なので、混色でも十分何とかなる感じもしました。
茶色自体はどこでも買える色なので、ブライトカラーの方から入手するか、別メーカーでもいいと多います。ブライトカラーのこげちゃいろも茶色にしては滑らかな色でいい色です!マッチの絵具を使うなら、全て粒子の細かいもので揃えて塗りたくなりますね。
実際に絵を描いてみた
マッチブライトカラーだけで絵を描いてみました。彩度を生かした絵を。
ということでいつもより明るい絵を。。
乾く前の写真見て欲しいのですが…
まっちのブラックにブルーやウルトラマリンを混ぜましたが、深い魅惑的なブルーになりました。いつもより彩度が下がらないのは不思議です。とてもきれいな色❗️リピートしたい。
どこで買える?
まっちの絵具は普通の画材やさんでは売っていません。
実店舗では、Toolsには取り扱いがあります。
都内だと御茶ノ水のTools には取り扱いがありました。セット商品だけでなく、バラで一本ずつ買うことができます。実店舗で、マッチの絵具を一本ずつ買えるお店は少ないと思います。
Amazonにも12色セットの取り扱いがありました。単色で購入はできないみたいですが、セットでもそこまで高くないのでご興味ある方はどうぞ!量も10mlチューブなので、中々なくならないと思います。いらないな〜と思う色がないので、無駄にはならないと思います。↓
マッチのオンライショップだと、セットのバリエーションも豊富ですし、単色での購入も可能です。まずはベイシックカラーの購入がおすすめです。それにブライトカラーやレインボーカラーを買い足していけばいいかな、と。
画材販売.jp でもマッチベイシックカラーの取り扱いがあるそうです。ベイシックカラーのみですが、単色販売、セット販売両方しています!(フォロワーさんに教えて頂きました。ありがとうございます!)