「混色が苦手!」という方も意外と多いようなので、遊びながら混色力を鍛えるアイディアを考えてみました!
Table of Contents
混色ってなあに?
透明水彩には限らず絵具全般に言えることですが、混色は超大事なテクニックです。
なんでなの?
絵具で売っているのはごく限られた色だからね。
混色をマスターすると「使える色の数」が増えます!
とりあえず、混色の基本的なやり方や、考え方はこちらにまとめています。
混色は2色混ぜるのがおすすめ。3色混ぜるのがダメというわけではないのですが、3色混色は2色混色に比べて複雑さが段違いで、中々配分やそれによって作れる色を覚えるのが大変です。
まずは2色混色にトライしてみよう!
まず、混色する2色を選んでみよう
まずは2色選んでみましょう。どういう組み合わせでもいいです。
とはいうものの…
うーん、どんな2色を選んでみたら
いいかな?
組み合わせの種類も多いし迷うなあ
という人は次の章を参考にしてみてください。
予想のつかない組み合わせを選ぶ
組み合わせる2色はどんな組み合わせでもいいのです。混ぜてはいけない組み合わせは特にありません。
が、自分があまり混色したことのない組み合わせや、どんな色ができるか予想がつかない組み合わせだと、発見があり、実りが大きいです。
緑と赤茶色とか、青とオレンジなど、色相が離れていると予想もつきにくいですね。
確かに…
黄色と青なら緑かなって思うけど
オレンジと青とかは予想つかない!
よく使う組み合わせの再確認でもいいですが、ちょっと自分ではやらないような組み合わせはすごくおすすめです。
「混色すると色が濁るからいけない」という本や説もあるのですが、混色は色が濁っていけないということはありません。なぜなら濁った色は、色自体は渋いし地味なのですが、それはそれで使い出があるからです。
この組み合わせだと「濁っちゃうかなあ」などと考える必要はありません!
濁る組み合わせも役に立ちますよ♪
比べてみるのも面白い
似たような色同士で混色してみて、色を比べるのも面白いです。
一方の色を固定して、もう一方の色は似ているけどちょっと違う色を混ぜて、色の調子を比べてみるなどです。
例えば、ホルベインのキナクリドンレッドに青を混ぜて紫を作るとします。キナクリドンレッドの方は固定しておいて、それにウルトラマリンを混ぜた場合とフタロブルーを混ぜた場合で、色の鮮やかさや濃さを比べてみるのです。
こうしてみると、とても比べやすいですよね。色(顔料)の持つ性質も理解しやすいです。
混色の比較をしてみる時は、作る色から逆算して色を選ぶといいです。例えば、「紫を作る組み合わせ」とか「黄緑を作る組み合わせ」のような感じですね。
こちらはシュミンケホラダムのフタロブルーという絵具を軸にしています。そこにイエローオーカー を混ぜたものとスピナルブラウンを混ぜたものを並べて比較しています。
どちらも黄土色なので、そこまで違いはありませんが、スピナルブラウンだと緑は作れない!ということを発見しました。
新しく買った絵具の使い道を考えてみよう
新しく買った絵具、または使いこなしてみたい絵具を一つ選んで、それに相性の合う色を考えてみましょう。
鮮やかな色を作る?くすみカラーを作ってみる?黒やグレーが作れる組み合わせはあるかな?
私は今年買ったグリーンゴールドという色がイマイチ使いこなせないので、この色を軸に色々な色を混ぜてみました。
持っている絵具と総当たりでもいいかもしれません。
持っている絵具をフル活用してみる気持ちで。皆様の健闘が光りますので紹介…
色々試してみると、「こんな色が欲しかった!」と思うような絶妙な組み合わせが見つかるかもしれません!
お気に入りを探してみよう♪
混色カードを作ってみよう
ただ、絵具を1:1で混ぜて、「こんな感じの色ができるんだ〜」で終わるのはちょっともったいないです。
えっ?まだまだ??
黄色+青=緑
だと思ってませんか。
でも、黄色多めに混ぜた時と、青を多めに混ぜた時では、全然違う色ができますよね。
また、混ぜた色を濃く塗った時と水で薄めた時では、色は全然違ったものになります。
ただ2つの絵具を混ぜ切ってしまうのではなく、混ぜ切らずに微妙に変化させながら塗ると、分離色のような複雑な塗りをすることもできます。
たった2色からどのくらいたくさんの色が作れるのか、トライしてみましょう!
もし、ハガキサイズの水彩紙や、端切れがあれば、混色カードを作ってみるのもいいですよ。
私は葉っぱの模様で混色カードを作ってます。よかったら葉っぱもトライしてみてくださいね。筆捌きの練習にもなります。
どのくらい可能性がある組み合わせなのか。結構2色でも、びっくりするくらいたくさんの色が作れる。薄めた時や濃く塗った時では全然印象が違ったりしますし。絵具で売っていないような、絶妙な色が作れることもあります。
カードで記録を残しておくと、自分のための備忘録にもなります。似たような組み合わせでも、比較ができますよね。
メモも残しておくといいかも。緑の影色に使えそう、とか。夜空の色にぴったりとか
どんなところをチェックしたらいいか
何となく混色するだけではもったいない。実際にやってみたからこそ分かることも多いです。なので、意識しておくいいポイントをご紹介します。
①作れる色の幅
②色を混ぜたときに彩度が落ちるか
③色の濃度
④分離するか、しっかり混ざるか
むむっ?
①作れる色の幅
「緑と黄色を混ぜたとき」と「青と黄色を混ぜたとき」ではどちらがたくさんの色が作れるでしょうか?
難しいなあ。。
緑と黄色だと、黄緑しか作れないけど…
青と黄色だと、青緑も作れちゃう?
そう、青と黄色を混ぜたときの方が、たくさんの色を作ることができるんですね。
ひよこちゃんの言っている通り、緑と黄色を混ぜたときは、黄緑しかできませんが、青と黄色を混ぜたときは黄緑だけじゃなく青緑も作れます。
このように、色相環の中で、近い色に位置する色同士では、作れる色の幅は狭いですが、遠くなると作れる色の幅が広くなります。
どちらがいいかは、場合にもよりますが、近い色に位置する色同士は、同じ色をもう一度再現するのが楽だといえます。遠い色同士は、作れる色にバリエーションがあり、様々な使い方ができて選択肢も多い代わりに、同じ色を再現するのには経験と慣れが必要になります。
②色を混ぜたときに彩度が下がるか
色の組み合わせによって、鮮やかな混色ができる組み合わせもあれば、混ぜると色が濁る組み合わせもあります。
よく水彩の本には、「色が濁るので混色しまくるのはNG」みたいなことが書いてあるのですが、濁った色にも活躍の場はあるので、問題は「色の濁りをコントロールできるか」です。
色が濁ってしまうのがいけないというより、「鮮やかな色で塗りたかったのに、意図せず彩度が下がってしまった」ことが問題なのです。
ということで、2色の組み合わせで、色の彩度がどう変化するのかは、チェックしておくといいですね。
簡単なのは、くすんだ色を混ぜる→彩度が下がる
ですが、鮮やかな色と鮮やかな色を混ぜる、でも色相での位置が遠いと彩度が下がることに注目。
例えば、左は鮮やかな緑色が作れる組み合わせ、右は渋い緑色が作れる組み合わせです。どちらも混色に使っている色は鮮やかな色なんです。
鮮やかな色×鮮やかな色でも、組み合わせによっては色が渋くなることに注目です。
③色の濃度
これが一番ピンときにくいかもしれません。これは、実際にトライしてもらえるとよ〜〜くわかります。
例えばフタロブルーイエローシェードとキナクリドンマゼンタ。どちらもとても鮮やかな絵具です。
この2色は鮮やかな色でありながら、とても深い色味も持っている絵具です。チューブで出すと真っ黒ですよね。すっごく濃く塗ってみると、かなり黒っぽい色も持っていることが分かります。こういう色を深みのある色、と呼んだりしてます。
で、こういう2色を混ぜると、かなり黒っぽい紫ができたりします。薄めると鮮やかな紫なんですが、ただ、色の濃度がかなり高いんです。なのでできた紫は色幅がとても広いです。このように深みのある色同士を混ぜたりするとものすごく濃い色ができたりします。これは実際に混ぜてみるまで分かりにくいです。
一方マンガニーズブルーヒューとオペラの組み合わせだと、どちらも明るい(深みのない)色同士なので、できる紫も明るい紫のみです。
これはどっちの組み合わせがいいのかは、場合によります。明るい紫のまま塗りたければ、マンガニーズの方が便利でしょうし、逆にフタロで作った紫の方は、ものすごく暗くしたい部分に塗ることもできます。
中間とってフタロとオペラの
組み合わせだとどうかな?
いいかもしれないよ✨
色々試してみてね。
混色して変化する色の濃度というのにも注目してみるといいと思います。
深い色が作れる組み合わせも結構便利です。鮮やかな色2色で黒っぽい色が作れることもあって、その混色の黒は、他の色と馴染みやすく、かつ画面を引き締めてくれます。
逆に淡い色同士の混色は作れる色幅が狭いですが、失敗しにくい、再現しやすいというメリットもあります。ラベンダー✖️ライラック ジョーンブリヤン✖️シェルピンク などパステルカラー同士の混色も定番です。
④分離するか、しっかり混ざるか
絵具の組み合わせによっては、しっかり混ざってきれいに色が作れるものもありますが、混ざらないで分離してしまうものもあります。
絵具には粒子が細かい絵具と粒子の粗い絵具があります。結論から言ってしまうと、
という感じで、組み合わせの片方に粒子の粗い絵具が選ばれていると、分離します。ただ、一口に粒子の粗い絵具と言っても、色によっても分離しやすさが変わります。例えばセルリアンブルーはとても粒子が荒く、分離しやすい絵具です。
混色は、絶対に分離して欲しくない場面もあるし、逆に分離させたい場合もあるので、試した組み合わせがどんな反応をするかはチェックしておくといいです。
混色見本ファイルを作り中
今、ポストカード水彩紙に作った混色見本図鑑を作っています。
今まで作った混色見本がかなり溜まってきたので、ファイルに入れて見やすいようにしてみました。
ファイルは無印のポストカード用のファイルです。
ちょっとずつ溜めていくと達成感がありますし、いつでも見返せるようにしておくと何かと便利です。自分なりの絵具の使い方みたいなものができてくると思います。
世の中には、
- 透明水彩で白は使わない
- 黒は使わない方がいい
- パステルカラーを多用するのは良くない
- 色を混ぜると濁るから良くない
みたいなことを耳にする機会があるかもしれません。
私が思うに、絵具の使い方はそれぞれでいいんです。
ただ、その絵具の使い方が「目的に合っているか?」ということが大事なのだと思います。
今回は混色のことをお話ししましたが、もちろん混色せずにそのまま色を置くのもありです。絵具はそのままの色でも十分きれいですよね。
ただ、自分に合った使い方ができると、それがオリジナリティにもなりますし、表現の幅も広がります。
絵具の特性をよく理解して、一つ一つの絵具と仲良くなるような気持ちで付き合ってみてください。この色はどんな特徴があるのかな?どんなときに活躍しそうかな?仲良くなるにはまず、よく知ることからですよね!
ではまた♪
粒子の細かい絵具×粒子の細かい絵具→分離しない
粒子の粗い絵具×粒子の細かい絵具→分離する
粒子の粗い絵具×粒子の粗い絵具→分離する