今回は売っている水彩紙の形のお話をしたいと思います。初心者にはなじみのない言葉ですが、ブック、ブロック、パッドについて解説します。
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ブック、ブロック、パッドについて
画材店に行ってみると、水彩紙はさまざまな形で売られています。はじめて水彩紙を買う人は、「いったいどれを買えばいいのか」迷ってしまうかもしれません。

はじめての水彩紙!
どれがいいのかな〜?

色々な形があるよね!
一番なじみがあるのは、いわゆるスケッチブックの形のブックだと思います。名前も色々でメーカーによっては「スパイラル綴じ」と呼ぶこともあります。リングで留めてある水彩紙です。
主流はブロック。ブロックタイプは、四方糊どめされているものです。1枚ずつはがして使います。海外のメーカーの水彩紙などはブロックタイプしかないものも多いです。
あとは一辺のみ糊どめされているパッド。パッドはメモ帳みたいな感じです。
水彩紙の種類によっては、どれもある場合もあるし、どれか一つの形しか売っていない場合もあります。それぞれ使い勝手が異なりますし、実は1枚ごとの価格も違います。それぞれのメリットをまとめましたので、選ぶときの参考にしてみてください。
売っている水彩紙には、本型のスパイラル綴じのブックタイプと、四方がのりづけされているブロックタイプがあります。水彩紙の種類によっては、どちらのタイプも売っていることもあるし、ブロックタイプしかないものもあります。それぞれの良い点を書いてみたいと思います。
ブック

ブックは、くるくるしたバネで20枚ほどの水彩紙がとめられています。(スパイラル綴じと呼ばれることも)一般的なスケッチブックの形なので、これが一番なじみがあかもしれません。
特徴は、本のようにパラパラめくることができることです。、そのため、好きなページから描くことができ、何枚か絵を同時進行させることもできます。
少しだけ手直ししたり、ということもしやすいです。私のように、完成後もちょこちょこ手直しするタイプの人は、ブックタイプは使いやすいです。あとは完成したものもバラバラにならないので、探しやすいです。あとで見返す時も見やすいし、何だか、絵本のようで楽しいです。また持ち運びしやすいというメリットがあります。
ただ、デメリットもあります。絵具で塗った時、紙がボコボコ波打ってしまいやすいです。ブックタイプ画面全体を水で濡らさずに描くときは使いやすいですのですが、水をたっぷり使うときは水張りした方がいいですね。あとは、描き終えた作品を切り離すのに手間がかかります。カッターで切り離すのは地味に大変な作業です。
全ての紙を描き終えたら、バネのはじっこをペンチで切り、クルクル回していくとバネは外れます。そうすると紙がバラバラになりますので、作品をスケッチブックから外すことができます。
ただ、描き終えるごとに、切り離して額装したい場合は、ブックタイプはちょっと使いにくいこともあります。なので、作品を展示に出す作家さんにはあまり向かないかも。
・たっぷり水を使うと、紙が波うちやすい
・描き終えた作品を、切り離しずらい(展示には不向き)
ブロック

ブロックは、四方がのりづけされているタイプの水彩紙です。上から順番に使っていきます。1枚描き終えたら、カッターで外します。作品は1番上の水彩紙にしか描けないので、1回に1枚しか描けません。
このタイプのいいところは、水張りをしなくても、絵を描くことができるところです。とはいえ、パネルに水張りをした時ほど、完璧ではなくて、描いている最中は多少たわみます。乾くと真っ直ぐになります。でも四方がしっかりとまっているので、ボコボコにはならないのでかなり快適です。画面全体を、水で濡らして描くような場合には重宝します。一枚一枚水張りをするのは手間もかかりますし、やはりブロックタイプは便利です。

1枚づつしか描けないのが、ちょっと不便に感じます。描いた絵を1回1回外さなくてはいけないのです。外したものがバラバラになるので、ファイルに入れるなど整理しないと絵が迷子になります。
また、上の紙が下の紙接しているので、あまりに制作に時間がかかると、下の紙が風邪をひいてしまいます。制作スピードが遅い人は、1枚ずつはがして、木製パネルに水張りする方がいいですね。いずれにせよ、紙を簡単に外せるので融通が利きやすいところもブロックのいいところかもしれません。
・四方糊どめされているので、水張りしなくてもよい
・都度はがして、水張りしたりと、融通も聞く
・はがさないと次の紙に描けない
・作業時間が長すぎると、下の水彩紙が風邪をひいたりする
高級な水彩紙ほど、ブロックタイプのみ、というものが多いです。ファブリアーノ、ラングトンプレステージ、ウィンザー&ニュートンプロフェッショナル水彩紙などはブロックタイプのみです。なのでブックがいいな、と思ってもブロックを買うしかないんです。
パッド
最後にパッドをご紹介します。パッドは一辺だけが糊付けされているメモ帳のような水彩紙です。簡易的な表紙がついていますが、下は水彩紙が軽く留められています。これはブックのように何枚か同時に描くこともできますし、1枚ずつはがして水張りして使うこともできます。ただ、ブックやブロックのようにしっかり留まっているわけではないので、最終的にはバラバラになります。

色々な使い方ができて応用が利くうえ、実は価格も安めになるので、画材費をおさえたい方にはパッドはとてもおすすめです。
ただ、パッド自体あまり売っている水彩紙が少なめです。あと、パッドに使われている水彩紙が、ブックやブロックで売られているものより、薄めであることも多いです。なのでその辺りはよく注意して購入することが大事です。
おすすめはミューズのワトソンとランプライトのパッド。あとはマルマンのヴィフアールのパッド、アルシュのパッドもおすすめです。
・はがしやすく、色々な使い方ができる
・とにかく安い
・留め方が軽いので、最終的にはバラバラになる
・薄いものが多いので、水張りした方がいい
・あまり売っていない
ブック、ブロック、パッド、どれが1番お得?
ブック、ブロック、パッド、この3つを同じサイズ、1枚ごとの価格で比較してみると…
高い ブック>ブロック>パッド 安い
となっています。ブックとブロックは同じ価格、という場合もあります。一番お得なのはパッドです。
画材屋さんによると、なるべく紙1枚の状態、加工が少ない形式の方が安くなるそうです。カットするほど高くなるし、糊付けも増えれば高くなるし、硬い表紙をつけてリング留めするとさらに高くなる、ということです。
なので、もっというと、カットしない大きな紙の状態で買ったり、ロールで買うとさらに安くなります。上級者向けですね。
初心者が買う中で、一番お買い得なのはパッドです。
使いやすさのバランスで言うとブロックかなと思います。
コスパのよい水彩紙を探したいなら、1枚ごとに価格を比較した記事がおすすめです↓
どちらがいいかは場合による
どちらがいいかは、制作スタイルにもよります。必ず水張りが必要なほど、紙に水や絵具を塗るタイプの人なら、ブロックが便利と思いますし、絵を同時進行させたいタイプの人はブックの方が合うかもしれません。
・絵を同時進行させたい→ブック
・スケッチに持っていきたい→ブック
・作家活動していて、描き終わったらすぐに絵を外したい→ブロック、パッド
・必ず水張りをする→ブロック、パッド
・なるべく安く買いたい→パッド、シート、ロール
こんな感じでしょうか。
私はどのタイプも使っていますが、以前より展示に出る機会が増えたので、ブロックやパッドで購入することがメインになってきました。価格が高めの水彩紙を購入する場合は、シートで購入も多いです。
どんなスタイルで制作するか、で使いやすい形が決まってくるので、まずは色々使い試ししてみてください。
水彩をきれいに仕上げるために欠かせないのが水張りなので、まずはこの記事を読んでみてください↓
描き終わった作品はどうすればいいの?という方はこちら。作品の保管についてご紹介してます。
・同時に何枚も描ける
・完成した作品がバラバラにならない。
・持ち運びしやすい