個展の振り返りをします!個人的な備忘録ですが、来場できなかった方のためにも。画像を用意しました。
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2023年枯葉庭園の個展
2023年11月6日(月)〜11日(土)
銀座中央ギャラリー(奥野ビル411)で個展を行いました。
今回事前に作品公開を行ったのですが、実はこれ以外にも作品はありました。
今回の展示のテーマは「記憶と思い出」です。
この記事では個展で飾った作品をご紹介します。あまりギャラリー内で作品解説ができなかったので、答え合わせのような感じで楽しんでいただけたら幸いです。
個展作品紹介
星降る夜に
今回のメインビジュアルです。メインビジュアルだけど、そんなに大きくない作品です。
テーマは時間の経過とまどろみ。背景のアーチは古びた感じを出したく、茶色のグラニュレーションカラー、愛するウォルナットブラウンをふんだんに使いました。
天使は2年前までは「苦手なので描かない」と宣言してましたが、嘘でしたね。ここ1年でめっちゃ描いてます。宗教的なモチーフではありますが、そこにはこだわらず「祈るもの」「愛や平和を伝える存在」としてかけたらなと思っています。
DM作品だったので、どんな感じか楽しみにしてくださった方が多かったようです。
まどろみの向こう
「眠る前の穏やかな時間」をテーマに描いた作品です。よくも悪くもあまり枯葉っぽくない作品になったかもしれません。開いた本(日記のイメージ)から飛び出す青い鳥は、幸福の青い鳥ですが、Twitterの青い鳥をイメージしました。けっこう気づいてくださる方がいて嬉しかったです。皆さん「さよならTwitter」って呼んでました…
考えたことや伝えたいことが鳥のように飛んでいって、誰かに届くといいなという思いをこめました。
別れを告げる花
この作品はギリシャ神話のペルセポネーをイメージした作品だったのですが、どのようにも解釈してほしかったこともあって、あえてギャラリー内で作品解説はしませんでした。
実はこの作品、描き上げた時はあまり納得していなくて、お蔵入り作品として、ファイルにしまっていましたが、娘たちが「この作品、今回の展示のテーマにぴったり。絶対出した方がいいよ!」と強く薦めてくれたので、出すことになりました。結果、ギャラリーでは、とても評判が良かった(特に男性陣に…)ので、思わず娘たちに感謝…🙏
背景はアクリル絵具のグレイッシュカラーでマットに仕上げていて、このような感じにしたのははじめてだったので、自分としてもチャレンジの多い作品でした。
忘却の呪文
いつもと違うちょっと変わった構図にしました。窓のような夜空の背景や、連なる建物、少女の服の裾のは、「折り重なる記憶のイメージ」です。少し複雑な部分が多かったので、時間はかかりましたが、服の色合いなど発光するかのように表現できて満足です。
額装の、幅の広いダブルマットは、視覚的インパクトが強かったので少し心配でしたが、お迎えしていただけた方に「窓のよう」と言っていただけたので、嬉しかったです。
よるべなき祈り
こちらの作品は、思いのほか評判でした。
葉っぱのモチーフはよく色見本で使っていましたが、作品の中にも入れてみたいと思っていたのでよかったです。背景は、めずらしく紺色ではなくグリーンです。青ばかりだと冷たい感じになってしまうので、この色合い、とても気に入ってます。
手にもっているものはペンダントとかではなくて、ロザリオです。
平和の使者
こちらは葉っぱ、天使、茶色の組み合わせのテーマで描きました。天使の冠と白い鳩が咥えているのは、オリーブの葉です。白い鳩とオリーブは平和の象徴。
初日にお持ち帰りになられたため、見れなかった方が多かったのは申し訳なかったです。一応記念に写真を。
風の歌を聴く
この作品が1番最初に仕上がった新作でした。静けさと激しさが交錯するような画面にしたいと思いました。人物は祈るような表情ですが、画面全体の躍動感が気に入っています。
こちらも好きと言ってくださった方が多かったです。自分としてももう一度描けないような作品です。手元の灯火は魂の焔です。
まどろむ空の色
眠る前のまどろみと眠る前の読書をテーマに制作しました。
夜と夕焼けが入り混じる不思議な作品となりました。
こちらの作品は月と流れ星、カーテンタッセルはキラキラが光ります。ギャラリーのライトが強かったのか、私の想定以上に光ってました!
シンデレラ
こちらの作品も好評でした。今まで色々童話モチーフは描いてきたのですが、シンデレラははじめてで!楽しい夢のような時間を「思い出す」をテーマに。
ドレスの裾が透けているのを、見てくださる方が多くて嬉しかったです。全てをアクリルで描いた初期の作品なので、自分としては何かを掴んだ感触がありました。
時計が、微妙に12時5分になっているのに気づいた人は…いたのかな?
月夜のオルゴール
珍しいピンクの三日月(少女の髪の毛もピンク)。ホルベインのクロマシャインピンクを使用しました。正面から見るとピンク、横から見るとゴールド、下から見ると白っぽく見える偏光色です。今回偏光色を本格的に作品に使ってみて、視覚効果を確かめることができました。
煙のようなメロディーの表現なども、自分としては面白さがあったので、またチャレンジしたいです。
最良の日
こちらも自分の予想に反して、好評でした。アキーラを使って描いた初めての人物画です。
作中の「Carpe Diem」は「日を摘み取れ」という意味のラテン語で、「その1日を精一杯生きよ」という古代ローマの格言となっています。
白百合と亜麻色の髪の女性、青い服、という組み合わせは今までにも何度か描いていますが、人気がある感じがしますね。白い花は水彩のような淡彩で表現するのは難しく、腕の見せどころなのですが、水彩らしさもあるのでまた技術を磨いていきたいですね。
君に捧げる物語
珍しいアーチ型の作品。枯葉は本と女性の組み合わせが、とても好きで、本の中の世界に没頭し味わう姿勢、また探求する姿勢に惹かれます。またその中でも本から何かが飛び出すという、アイディアがお気に入りです。
本から生えている木はクスノキの苗木です。クスノキは成長は遅いけど、大きな木に成長し寿命も長いことから、楠学問という言葉もあります。単なる知識の集積ではなく精神的な成長のイメージを託しました。
この作品もコメントが多く嬉しかったですね。
水の戯れ
モーリスラヴェルのピアノ曲「水の戯れ」に着想を得て描いた作品です。
最初は、川のせせらぎかと思ったのですが、循環する旋律が噴水っぽいなと思っていたら、本当に噴水をイメージした曲だそうです。
背景のキラキラやジェルメディウムでの盛り上げが、目をひいたようで、質問も多かったですね。こちらもアクリルだけで仕上げたので、またこのような特殊な効果を狙った作品を作りたいです。
眠る街
ユニコーンははじめて描きました!(いいチャレンジになりました)
最初は「失われた王国」というタイトルでしたが、失われた、という響きが寂しげだったので変えました。少女に合わせてユニコーンも子供。
今回は作画を全てアクリル絵具で。こちらは1番印象に残ったという方が多かったです。
マルニ額縁店さんのオリジナルフレームもとても合っていました。
海の歌
1回の個展で人魚の作品は必ず1枚入れています。これは単純に「好きだから」なのですが、この鱗の描写を見て欲しくて🙏 この鱗の微妙で繊細な色合い、なかなか実物じゃないと分からなくて。深い静かな海とそこに流れる音をイメージしてます。人魚の出てくる昔話は大抵ラストが悲しいのですが、あまり悲劇的な感じにはしたくなくて、海の底から長い年月をかけて現世の移り変わりを見つめる美しい存在として描きたいと思っています。
真夜中の音楽会
動物と音楽をテーマにした作品。こちらだけは旧作で、前回の個展でも出してました。2021年作のこともあって、少し夜の表現などは今と違います。低反射のガラスのため、映り込みがほとんどなく写真もきれいに撮れました。
夕暮れに染まる
こちらもテーマ設定して描いた作品。描いた当時は、ちょっと苦労しつつ描き上げたのですが新しい境地を開拓できて嬉しかったです。今回の個展は青やグレーの作品が多かったのですが、こちらは、めずらしく暖色系。
本来こういう色合いが好きなので、また暖かい色の絵も描きたいなと!
満月の弓騎兵
唯一の男性。男性描かないというわけでもないのですが、(男:女=1:50)みたいな人数比です。意外と好評だったのかな?よく分かりませんが、また見たいと言っていただけたので、1回の個展で1枚くらいは男性描こうかな。
馬上の戦士はいつか描きたいと思っていて、弓騎兵についても色々調べていたらとても面白かったです。
今回のイチオシポイントは、馬の足元の土埃と土煙。絵具も透明水彩の粒状化色やアクリルのマットカラーなどあらゆる画材を総動員して工夫しました。
またいつかの物語
今回は記憶と思い出がテーマだったので、過去を振り返るような絵が多かったのですが、この作品だけは未来を思う絵でした。足元の飛行機は旅の思い出、そしてまたいつか旅に出たいとねがう。そんな情景でした。
こちらは額装とのマッチングもよかったです。妥協せず、こだわってよかった。
再生の魔法
技術的にはこの作品が一番難しかったです。背景を透明水彩の淡い色でグラデーションにしたり、白い服の表現、発光する表現、どれも足し算引き算を考えさせられました。濃い色の背景のものが多い中、こちらは淡い色も多く使っているので色合いやムラにも気を使いました。
テーマの「再生」ももう少し自分の中で深めてみたいです。
夜の帳(とばり)
こちらは以前に描いたミニ原画を大きく描き直したものです。とても気に入っていたのですが、さすがに小さかったので。
ミニ作品の方は、旅がテーマでしたが、こちらの大きな作品では「旅の思い出」をテーマにしました。
夜のカーテンとその奥に広がる不思議な光景。昼なのか夜なのか。夢なのか現実なのか。カーテンを開けているのか閉めているのか。
まばゆい光を表現するために、背景の白い部分は光沢のある絵具で塗りました。このあたりも実物を見ないとわからないので、楽しんでくださる方が多く、嬉しかったです。
作品について
壁にかけた作品は22点、そのほかにドローイングやらミニ作品をテーブルに展示させていただきました。
飾ってみるとかなりの点数で、驚かれた方も多かったようですが、9割くらいは新作でした。
準備をはじめたのは今年の5月ごろから。
それまで昨年の不調を引きずっていて、やっと復活できたのがこのころでした。準備は半年くらいだったのでよく頑張ったと思う。
惜しむべき点があるとしたら、わりと似たようなタイプの作品が多かったことです。特に目を瞑っているのが多くて、偏ってしまったことには直前に気付いたのですが、直前でどうにもならず。もう少しこのあたりは気をつけてバランス見ながら制作したいと思いました。
会場について
今回は去年の公募展の入賞銀座中央ギャラリー賞の副賞としての半企画個展でした。
受賞したのはこの作品です↓
銀座中央ギャラリーさんは公募展やグループ展で去年からたびたびお世話になっていましたが、今回個展ということで自分の作品ばかり飾ったらどんな感じになるだろう?と楽しみにしていました。去年は路面のギャラリーで入り口から自然光が多く入るギャラリーでした。対して今回は窓のない閉鎖的な空間。
結果、窓のないギャラリー!とてもよかったです。これは展示するものの雰囲気や画材によっても違うと思いますが、枯葉の作品は自然光の入らない閉鎖空間の方がよく映えると思いました。景色の映り込みも少ないし、ギャラリーのスポットライトでキラキラ絵具も美しく輝いてました。いつもより没入して見ているお客さんが多く、人によっては何周もしてじっくり見てくださったので嬉しかったです。
多かった感想
キラキラ絵具に関するコメントが多かったです。やはり画面上では1ミリも伝わらないのがキラキラ。実物見にこれてよかったとおっしゃってくださる方が多かったです。実は自宅でもさほどキラキラは光っていなくて、今回ギャラリーのライトのおかげか、とても光っていて自分でもびっくりしました。
あとは暗色の部分も実際に見ると色の変化や深みが見えてこれもとてもよかったという声が多かったです。色も実物はより柔らかい感じです。
小さい作品をお迎えしたい方が多かったようなので、次回はもう少し多めに用意します。
会期について
今回はかなりたくさんの方に見ていただけた展示となりました。来場数は過去最高で、日によってはほとんど座るタイミングもなく、今回は在廊中にドローイングも描けませんでした。ブログやTwitterからの方も多く、ふだんブログを参考にしていることや画材のことを色々お話できてとても参考になりました。メーカーさんの来場も多く、とてもありがたかったです。
作品のお迎えも、額装作品の点数、売り上げ金額ともに過去最高かな。ドローイングもほぼ、家にあるものを出し尽くしました。また新たに描かなくては。
来場された方のさまざまな意見や感想を伺い、色々な方の価値観に触れ、なるほどなぁと思う日々でした。
自分の作品の優れたポイントを、探してくださるのってお客様であることが多いです。
常々思うことですが、自分の作品のことってなかなか客観視できないので、自分のいいところって気付けないんですよね(悪いところはすぐに思いつくのに!)今回も自分では意外な作品が、好評だったりして、改めて感想を聞けることがありがたかったです。もちろん、自分の描きたいものとお迎えされやすいものは、ギャップがあることもあるので、うまく折り合ってやっていく必要も感じました。
また来年の制作に活かしていけたらなぁと思います。
ご来場いただいた方、作品お迎えくださった方、SNSで応援してくださった方、ありがとうございました。
また来年も同じギャラリーで個展しますので楽しみにしていただけたら🙏
また来年〜✨
最後にみなさまのありがたい応援ポスト、感想ポストを貼り付けさせていただきます😄