今回は、初心者に向けて透明水彩パレットの作り方の基本をまとめてみました。
絵具セットを買ったけれどパレットにどのように並べればいいか分からない…。
という方ぜひ参考にされてください。
Table of Contents
どんなパレットを買えばいい?
まずパレットを選びかたを説明します。パレットも色々種類があって、迷ってしまいますよね。どんなパレットを選べばいいのか、参考にしてみてください。
ただ、どのパレットを選んでもパレットの作り方は同じです。予算や重さ、サイズを考えて選んでみてください。
材質
材質は、プラスチック製のものと、アルミ製、ステンレス製など、色々ありますが、基本的には何でも大丈夫です。
プラスチック製は、値段も安く、軽量なので、とにかく気軽なのが魅力です。使い始めは絵具を弾きやすく、混色がしにくいですが、使い込むうちに弾かなくなります。プラスチックのパレットは軽いので、野外に持ち運びしやすいですし、価格も安いので手に入れやすいです。ただ、長く使っていると、だんだんパレットに色が染みついていき、絵具本来の色が見辛くなってしまいます。
そうなってしまった場合は、次にアルミ製のパレットがおすすめです。アルミ製のパレットは、値段も少し張りますが、その分丈夫ですし、色も染みつきません。汚れてしまっても、拭いたり洗ったりすると、驚くほどキレイになります。見た目も高級感があり、気分も上がります。
長く楽しめそうなら、最初からアルミ製のパレットを買うのもおすすめ!
サイズは色々あります。サイズも大きすぎず、小さすぎずでちょうどいいと思います。私の愛用品は26色入るものです。
初心者には13色もおすすめです。こちらは混色スペースも大きいですし、値段も手頃です。
パレットの形
形に関しては、初心者の方は、絵具の仕切りがついているものを選ぶと良いと思います。仕切りがあれば、隣の絵具と色が混ざってしまうことがないため、絵具をきれいに使えます。仕切りと混色スペースが分かれているものを選ぶのがおすすめです。
上のパレットは私が使っているものですが、絵具を入れておく部屋の仕切りが高く、隣の部屋と混ざってしまうことがありません。混色スペースも独立しているので、とても使いやすいです。
初心者さんは部屋がしっかり分かれているものが使いやすいよ
仕切りの数
仕切りの数ですが、自分の持っている絵具の数に合わせます。
12色セットを持っているなら、12〜15色のパレット、18色セットなら18色のパレット、など、絵具が全て入るパレットにします。もし、すでにたくさん絵具を持っている、という場合でも、最初は色数は少ない方が取り組みやすいと思います。私は初心者の頃、14色パレットに12色ほど入れて、スタートしました。
もしまだ絵具もパレットもそろえていない、とりあえず何色か買って試してみたいという方は、このサイトでたびたび紹介している7色とホルベインの8色デザインパレットもおすすめです。
これなら、かなり初期投資が安く済むね
色は色相環の順番に並べる!
ここからはパレットの作り方をご紹介します。パレットに絵具を入れていく時の順番にはルールがあります。
それは色相環の順番に並べていく、ということです。
色相環とは色を順番に並べた色の輪っかのことです。
このようなものです。
要するに、虹色に並べていくってこと!
ですが、絵具の色は全てが鮮やかな色、というわけではありません。
なので、この色相環の中に入らない?ような感じの色もありますよね。
例えば、茶色や黒、グレーなどです。茶色は本来は赤のカテゴリーなのですが、それぞれ別の用途で使うことが多いので、茶色だけまとめて並べます。黒やグレーは無彩色なので、どのカテゴリーにも含まれません。
ということで、茶色とグレー、黒は色相環の中に入れないで、一箇所にまとめておく方がわかりやすいです。
あとはいわゆる色順に並べていけばOKです。
さて何色から並べる?
並べ方のアイディア
赤から始める
何色から並べてもいいですが、多くの人は赤から並べるようなので、赤からが良いかな?
虹は赤から始まってますしね〜
赤〜オレンジ〜黄色〜緑〜青〜紫〜茶色〜黒・グレー
という順番でしょうか。
黄色から並べる
私は紫と赤が遠くなるのが嫌なので黄色から並べるのが好きです。その場合
黄色〜オレンジ〜赤〜紫〜青〜緑〜茶色〜黒・グレー
となります。今度は黄色と緑が離れてしまいますね。
青から始める
青から始めるのもいいかも。
青〜紫〜赤〜オレンジ〜黄色〜緑〜茶色〜黒・グレー
黒から始める
この順番、結構いいかも。茶色系と赤が隣になっているのがいいですね。茶色は赤やオレンジと近い色なので。新しいパレットはこの順番に作りました。
黒・グレー〜茶色〜赤〜オレンジ〜黄色〜緑〜青〜紫
どれでも大丈夫です。もっといい並べ方があるかもしれません。ピンときた並べ方をお選びください。
パレットの作り方の一番大事な部分は、この並べ方です。この並べ方で色の使い方なども変わってきます。
ただ、基本は色相環の順に並べるということです。
パレットの仕切りが2列になっている時は、コの字を描くように並べていきます。似ている色は遠くにならないように注意します。
私のパレットの並べ方
ちなみに…
私のパレットの絵具の並べ方も、紹介しますね。パレットは年ごとに変えています。2021年のパレットの色の並べ方がとてもしっくりきているので、このような順番もおすすめします!
パレットの写真だけだと、何色が入っているのか分かりにくいですね。
色見本だとこのような感じです。
下の段右端から、黄色からスタートして、緑、青と並べ、上の段左端にうつり、紫、赤、と並べ、最後に茶色、グレーをまとめています。
この並べ方だと、下段の混色スペースは主に緑や青など寒色系の色を作るのに使い、上段の混色スペースは赤、紫、茶色など暖色系の混色に使用します。作る色でスペースがはっきり分かれていて、今のところとても使いやすいです。
混色のことを考えて、色を配置していますが、中々いい感じです♪
「パレットの作り方がよく分からない!」という方は、こちらの記事にもパレットの作り方を詳しく書いています。
パレットに入れている26色に興味ある方、どうぞ。
並べ方の注意ポイント
赤から並べる場合、赤、オレンジ、黄色…と並べていきますが、ここで注意!
イエローオーカーのような黄土色は、茶色のコーナーではなく、黄色のコーナーに並べます。
セットの箱の中では茶色のところに入っていますが、色相的には黄色に近いので、パレットでは黄色とオレンジの間に入れます。イエローオーカーは黄色の代わりに使うと、とても活躍する色です。
私も長い間、イエローオーカーを茶色ゾーンに入れていたのですが、黄色ゾーンに並べるようにして、黄色の代わりに使ってみたら、とても使いやすい色だということが分かりました。
ぜひ、黄色の隣に入れてあげてくださいね
イエローオーカーは彩度の低い黄色、
だと思って使うと、使いやすいんだね
あとはジョーンブリヤンのような肌色も悩みますが、黄色とオレンジの間がおすすめです。肌色としてだけでなく、黄色の代わりにも使うと混色の幅が広がります。
黄色のあとは、黄緑(あれば)、緑、青です。青は緑に近い青と、紫がかった青と2色入っていることが多いので、順番を間違えないように。青の隣が紫です。
茶色を置く場合は、赤茶色(バーントシェンナ、ベネチアンレッド、ライトレッドなど)が一番最初、その次にふつうの茶色(バーントアンバー)、焦茶色(セピア)、最後に黒やグレーを置きます。
インディゴのような暗ーい青、ペリレングリーンのような暗い緑は、グレーとして使うと優秀なので、青コーナー、緑コーナーではなく、黒・グレーコーナーのそばがおすすめです。
絵具の順番や配置は結構大事だよ!
もちろんパレットの作り方にルールはありませんが、順番や配置によって色の使いやすさや選びやすいさ、混色のしやすさも変わってくるので、自分なりに工夫してみるといいと思います。
絵具はどのくらい入れたらいい?
次に、パレットの仕切りの中に絵具を入れてみましょう。
絵具はパレットの仕切り、あふれない程度にたっぷり入れるのがコツです。
プラスチックパレットの場合、仕切りが浅くそんなには入らないこともあります(特に百均のパレット)
アルミのパレットは仕切りが深く、大きいので、チューブ一本丸々入れることがあります。
絵具はチューブに入れたままにしておくと硬くなってしまうので、出せるなら、全て出し切ってしまってもいいかもしれません。
そこまでは入らない場合でも、たっぷり出しましょう。仕切りの奥のほうに押しつけるように出します。
奥の方が絵具でびっしり詰まった感じになるのが、使いやすいです。
そして手前に向かって少なくなるようにします。奥はみっちり、手前が少なく、ですね。
筆を前方向に向かって動かして絵具を取りますので、奥から坂道になるようなイメージです。逆にならないように。
最後に乾かす!
パレットに絵具を全部入れることができたら、乾かしておきます。乾くまでは、パレットは開いたままで。
平らなところで乾かしましょう。1日で乾くと思います。
完全に乾いたらパレットの完成!
パレットを作っておけば、いつでも透明水彩で絵を描くことができます。
透明水彩絵具は乾燥させ、固めておいた状態で使う画材です。
これが他の画材にはないポイントです。
常に、パレットに色が出ている状態なので、準備も後片付けも楽です。
すぐに制作にとりかかれます。
アクリルや、油彩のように、毎回毎回色をチューブから出す手間がありません。
そして、常に色がでている状態なので、混色も色々な組み合わせを試したり、比べたりができます。
透明水彩の場合、24色パレットに入っていたら、24色を同時に使うことができます。アクリルや油彩では24色を、一回一回使うたびにチューブから出すのは大変なので。。
これは透明水彩の大きなメリットではないかな、と思います。
パレットは洗う?
パレットは洗いません。そのままで大丈夫です。
混色スペースも使ううちに汚くなりますが、あまり気にしなくて大丈夫です。
混色スペースをきれいにしたいときは、水で濡らしたあとに、雑巾やティッシュで汚れを取ればきれいにできます。色が染みついてしまって取れないときは、消しゴムで擦るときれいになります。
1回1回じゃーっと水で洗う必要はありません。
一回一回洗い流す必要はないんだね
黄色の仕切りは、他の色が混ざって汚くなりがちですが、時々水で濡らした筆で、表面を撫でて綺麗にします。
汚れているのは表面なので、表面の汚れだけ筆で取れば大丈夫です。
絵具のスペースも、混色スペースも、あまりに汚れがひどいと、混色のときに色が濁ってしまうので、時々きれいにしてあげればよいと思います。
パレットで色の順番を変えたいときはどうするか?
これは難しい問題です
絵具を使い切った段階で、一回水洗いしてきれいにし、絵具を入れ直すしかありません。
色によっては、カッターやナイフで絵具をこそぎ取ることができますが、パレットを傷つけてしまうこともありますので、ご注意を。
私はそういう場合、もう一つパレットを購入しても良いかなと思います。
一度パレットを作ってしまうと、順番を変えることは難しいので、パレットに絵具を入れる前に、絵具の種類や順番はよく考えておいた方がいいです。
その点、固形水彩の場合は、順番や入れ替えが楽だというメリットもあります。
私はパレットにチューブから絵具を出しておくスタイルの方が好みですが、頻繁に色を入れ替えたい時には固形水彩の方が良いかもしれませんね。
パレットを作ったら色見本も作ろう!
ここまで、パレットの作り方をご紹介しました。
さて、パレットは出来上がりましたか?
透明水彩はパレットを作ったら、いつでも絵を描くことができます。あまり面倒な準備と後片付けがいらないので、ちょっとした隙間時間にもお絵かきできます。
パレットが完成したら、まずやっておいた方がいいことがあります。それは…
色見本を作ることです。
見た目と実際の色が違うことも
透明水彩の場合、チューブから出した色と塗った色はかなり違うことがあります。(見たままの色もあります)
なので、パレットに出した色が、どんな色なのか把握しておくために「色見本」を作っておくのがおすすめです。
色見本の作り方
作り方はこんな感じです。
白い水彩紙を使います。おすすめはワトソンホワイトやアクリルデネブ、ウォーターフォードホワイトなどの真っ白な水彩紙です。(クリーム色の水彩紙は青と紫がとてもくすんで見えます)
大きさはあまり小さいと塗りづらいので、F3くらいはあった方が見やすいです。
- 色見本の順番は、パレットに入れた順番にする
- 濃淡をつけて絵具を塗る
- 色の名前だけでなく、メーカーや番号も書いておく
色見本の順番はパレットに入れた順番と同じにする
色見本で色を塗る順番や配置と実際のパレットの順番を同じにしておくと、対応させやすくおすすめです。
私の今年のパレットはこんな感じです。
パレットだけ見ると、何だか暗い色ばっかりで、地味に見えますよね。特に青ゾーンは真っ暗に見えます。
同じ配置で色見本を作りました。
意外とカラフルですよね。実際に塗ってみないと絵具の色は分かりにくいのです。
場所は完全に同じに作っているので、どの色がどんな色なのか、一目で分かりますね!
絵具は濃淡をつけて塗る
色見本を作るときに、絵具は濃淡をつけて塗るのがポイントです。なぜか?というと、濃い部分と淡い部分で色の雰囲気が変わる絵具もあるのです。特に透明度の強い色は、濃く塗ると深みのあるダークカラーだったりしますが、淡く塗ると鮮やかなパステルカラーになったりします。
使われている顔料の性質の差で、濃淡で違った表情を見せる絵具もあります。
透明水彩は水で薄めて、淡い色を作ることもしますので、絵具は濃淡をつけて塗っておくと、後から見返したとき分かりやすくなります。
初めは濃く塗っていき、少しずつ絵具をふきとって絵具の量を減らしていけば、きれいに塗れます。
名前だけでなく、番号やメーカーも書いておく
これは買い足しのためです。絵具は最初12色くらいでスタートしても、だんだんアレコレ試したくなり、増えていくものです。
パレットに入っている絵具の名前はしっかり書いておきましょう。メーカーや番号も書いておいた方がいいのは、同じ名前なのに、メーカーによって色名が違うとか、違う色なのに、別メーカーで同じ名前で売られていることがあるからです。
難しいなあ💧
初心者の方は、パレットを作ったときに、絵具を入れたパレットの仕切りの部分にも、油性ペンで名前を書いておくと色の名前を覚えやすくておすすめです。
おわりに
というわけで、初心者の方にむけてパレットの作り方を解説してみました。
パレットの作り方に決まりはないのですが、やはりバラバラに色を入れるより、色相環の順番に配置していった方が、使いやすいです。特に似たような色は、近くに集めておく方がいいですね。
混色は、かなり色の並べ方の順番に左右されます。色の順番を変えてみると、とても活躍する色もあったりします。イエローオーカーのような黄土色や、ジョーンブリアンを黄色のそばにおく、がその例です。
「この色、どこに入れるか迷う」場合は、同じ系統の色をまとめることを意識してみると良いと思います。
最初は、あまり色数が多くない方が、色との付き合い方が分かるような感じがします。最初は、7〜15色くらいかな。数が多ければ多いほど、使いこなすのに時間がかかります。
パレットを作ったら、いつでも好きな時に絵を描くことができます。それではお楽しみください!
絵具を揃えたいとき(初心者向け)
画材屋さんが近くにある場合、この7色を主軸にして、少しづつ好みの絵具を買い足していくのがおすすめです↓
通販(Amazon)で手軽に買える12色セット。12色セットの中では、ターナーの12色セットが初心者に一番おすすめです。安くて高クオリティ。そして、色のチョイスにクセがなく、使いやすいです。上の7色の記事で選ばれている色もほとんど入っています↓
たっぷり出す!という風に紹介しているのは、少ないと絵具をたっぷり使う技法がやりづらく色が薄くなりがちだからです。
が、絵具は長くパレットに出しておくと劣化しやすいので、あまり絵を描く頻度が高くなさそうな方は、控えめに出しておいた方がいいかもしれない、と最近思い直しました。高温多湿の日本の夏では、絵具がカビたりすることもあるようですので、少しずつ出していくスタイルの方が合っているのかもしれません。
大体1年で使いきれそうな量が目安と思います。