透明水彩で一番好きな人が多い青の絵具について、その種類と特徴をまとめました。
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透明水彩の人気色「青」
透明水彩を描かれている方で「青の絵具が好き」という方、多いのではないでしょうか。
日本人で一番好きな人が多い色は 青 だそうです。
日本人ばかりでなく、世界的に見ても、青が好きな人が一番多いそうです。(ちなみに不人気はオレンジだそう。青の補色なのが面白いですね。)
透明水彩でも、青い絵具は人気があります。絵具がもつ透明感と青のもつ爽快なイメージは、何となく相性が良いと思います。

とくに透明水彩の青がいいんだよね〜
今回は、魅惑の青の絵具の種類ついて紹介したいと思います。
青は、調和しやすい色
青というと、海の色、空の色を思い浮かべる方が多いかもしれません。
青はうすめると水色になり清楚なイメージ、深い青は神秘的な感じがします。青は明度によってイメージが変わります。

青はどんな風に組み合わせても、きれいだよね
青にも色々な種類の青がありますが、様々な青を、一枚の画面に盛り込んでも、うるさくなりません。赤や、オレンジなどは、同系色を盛り込みすぎると、ごちゃごちゃしてキレイに見えません。

ところが、青は、明るい青、渋い青、暗い青、鮮やかな青、いろいろな青を全て、一枚の絵に取り入れても、不思議に調和しやすいです。
青の絵具は大きく分けて6種類
私は絵具がとても好きなので、ホルベイン、ウィンザー&ニュートン、シュミンケホラダム、色々なメーカーの透明水彩カタログをチェックしています。そこで見るのは、絵具に使われている顔料です。
そして、顔料ごとに、絵具を分けてまとめています。
そこで気づいたことのは、青系の絵具には大きく分けて6種類あるということなんです!

へえ。もっとある感じがするけど、意外に少ないねえ

もっとある感じがするのは、混合色も多いからなの
- ウルトラマリン系 PB29
- フタロシニアン系 PB15
- コバルト系 PB28
- セルリアン系 PB35
- プルシャン系 PB27
- インダンスレン系 PB60

では、ひとつずつどんな特徴があるか見てみましょう!
同じ顔料でも、複数の違った色味や特徴を持っていることがあります。
青の絵具
ウルトラマリン系 PB29

最も基本的な青の1つです。
この色は、必ずどのメーカーにもある色です。
赤よりの青で、とてもとても鮮やかです。そして透明感があります。
ウルトラマリンのもう1つの特徴は、粒状化する色(グラニュレーションカラー)だということです。粒状化色というのは粒子の荒い色のことで、塗ると、紙の地の模様がくっきり出て、ザラザラした質感になるということです。
ホルベイン | ウルトラマリンライト、ウルトラマリンディープ、 |
ウィンザー&ニュートン | ウルトラマリン、フレンチウルトラマリン |
シュミンケ | ウルトラマリンファイネスト、フレンチウルトラマリン |
マイメリ | ウルトラマリンライト、ウルトラマリンディープ |
ターナー | ウルトラマリン、ウルトラマリンディープ |
クサカベ | ウルトラマリン、ウルトラマリンライト |
セヌリエ | ウルトラマリンライト、ウルトラマリンディープ |
ほとんどのメーカーで、ウルトラマリンは2種類あります。比較的粒子を細かくした明るい色の「ウルトラマリンライト」と粒子が粗めで色も深い「ウルトラマリンディープ」の2種類です。(フレンチウルトラマリン、という名前のことも)
同じ顔料ですが、それぞれ色合いや粒子感が異なります。

どっちを買おうかな?

まずはウルトラマリンライトを買ってみてね!
ウルトラマリンブルーは、鮮やかな紫を作ったり、くすんだグリーンを作ったりと、とにかく汎用性の高い大事な青なので、ぜひパレットに入れておきましょう。
詳しくはウルトラマリンだけまとめた記事があるので、こちらを↓
フタロブルー PB15

フタロブルーはウルトラマリンよりも黄色よりの青で、こちらもとても大事な色です。
特徴は、透明感が強いこと。そして、粒子が細かく滑らかであることです。
また、着色力が強めで、紙に染みつきやすいです。あとは発色も強く、絵具をたくさん取ると濃いめに色が出ることが多いです。
フタロブルーはPB15というフタロシニアン顔料からできています。フタロシアニン顔料は、色の幅が広く、一口にPB15といっても、PB15;1、PB15:3やPB15:6など色々な色が存在します。(それぞれ色合いが異なります)
覚えておくべきなのは
・フタロブルー(イエローシェード) PB15:3
・フタロブルー(レッドシェード)PB15:6

この2つのフタロブルーです。特に大事なのはフタロブルー(イエローシェード) PB15:3の方です。こちらは三原色のシアンに最も近く、替えがきかない色です。
ホルベイン | フタロブルーイエローシェード、フタロブルーレッドシェード、マンガニーズブルーノーバ、※ピーコックブルー |
ウィンザー&ニュートン | ウィンザーブルー(グリーンシェード)、ウィンザーブルー(レッドシェード)、マンガニーズブルーヒュー |
シュミンケホラダム | フタロブルー、フタロサファイアブルー、セルリアンブルーヒュー(少し白が混ざっている)、ヘリオセルリアン |
マイメリ | プライマリーブルーシアン、ベルリンブルー |
※ピーコックブルーは、フタロシニアンPB15➕ビリジャンヒューの混合色ですが、色味と性質が、フタロブルーイエローシェードととてもよく似ているので、代用することができます。

とりあえずフタロブルー(イエローシェード)を買っておけばOK?

それでOKです!
フタロブルーのまとめ記事を作りました。ややこしいのですが、分類したので分かりやすくなっていると思います!フタロブルーの特徴についても説明しています。
コバルトブルー PB28,PB74

コバルトブルーは半透明で、澄んだ青です。
色みはどちらかというとウルトラマリンと近いですが、さらに明るい青です。混色すると、相手の色を濁らせず青味を加えることができます。
くせがなく、美しい青色ですが、こちらも粒状化する色(グラニュレーションカラー)です。そして高価な絵具です。
ホルベイン | コバルトブルー、(コバルトブルーヒューは、ウルトラマリン➕フタロブルーの混合色) |
ウィンザー&ニュートン | コバルトブルー、コバルトブルーディープ(PB74) |
シュミンケホラダム | コバルトブルーライト、(コバルトブルーヒューはウルトラマリン➕白の混合色) |
マイメリ | コバルトブルーライト、コバルトブルーディープ(PB74) |
コバルトブルーの使用顔料はPB28です。コバルトブルーディープがPB74で、少し色味が深く粒子が粗めです。

ちょっと高いけどすごくきれいな青だね

安い顔料を混ぜて作られた廉価版コバルトブルーもよくあるけど、どうせ買うなら、単一顔料PB28、PB74を探してみてね
こちらに詳しいコバルトブルーの記事が!ウルトラマリンとの比較、コバルトブルー、コバルトブルーディープの比較ものせています。
セルリアンブルー PB35

珍しい水色、空色。白が入っているのではなく、顔料そのものが明るい青となっています。
セルリアンブルーの最大の特徴は、粒子の荒く、粒状化する色(グラニュレーションカラー)だということです。
粒状化する色の中でも、特に粒子が荒い色で、他の色とキレイに混ざりません。また粒子が重たいので、にじませても広がらずに、その場で定着します。風景を描く人には、定番の色で、空や山を塗ると、粒状化のザラザラとした質感もあいまって、独特の味わいが出ます。
ホルベイン | セルリアンブルー |
ウィンザー&ニュートン | セルリアンブルー、セルリアンブルーレッドシェード |
シュミンケホラダム | ※コバルトアズール |
マイメリ | セルリアンスカイブルー、セルリアンブルー(PB36)、コバルトブルー(PB36) |
ターナー | セルリアンブルー(PB36) |
※シュミンケだけ名前が違うので注意が必要です。シュミンケの「セルリアンブルーヒュー」はフタロブルーの仲間なので、気をつけてください。
紛らわしい…

PB36は、グリーン系の色味もあるのですが、セルリアンブルーと近い空色の色もあります。同じような空色の絵具だけ、表に入れました。PB35とPB36もコバルト系の顔料のようです。ですが、色が淡く、「空色」のものをこのセルリアン系に含めています。
プルシャンブルー PB27

プルシャンブルーのことです。アイアンシアン(PB27)という顔料で作られています。この色はどのメーカーでも、同じ名前で売られているので、分かりやすいです。
プルシャンブルーは、暗く彩度の低い色です。ただ、薄めると比較的明るい水色になります。粒子の細かい滑らかな色ですが、乾くと独特の凝集が出ることも多いです。

特徴は、濃淡の幅が広く1色で、明暗が表現できること。濃く載せると黒にも近い藍色になりますし、水を加えていくと鮮やかな水色が出てきます。そして、とても着色力が強く(青系の絵具のの中で最も強い)染みつきやすい色だということです。これの性質を生かした技法もあります。
ホルベイン | プルシャンブルー |
ウィンザー&ニュートン | プルシャンブルー、※アントワープブルー |
シュミンケホラダム | プルシャンブルー |
マイメリ | プルシャンブルー |
ターナー | プルシャンブルー |
セヌリエ | プルシャンブルー |
※ウィンザー&ニュートンのアントワープブルーは色の強さが抑えられていて、少し淡いです。
シュミンケのプルシャンブルーは、少し色が淡く、ホルベインのプルシャンブルーの方が色が濃く深みがあります。
どのメーカーでも見かけます。ちょっとくせがありますが、使い方によってはとても便利な色です。独特の深みと着色力で、重ね塗りに重宝します。混色にも向いています。紙によっては、絵具が滑らかにのらないこともあります。

濃い部分と淡い部分で色がちがう、個性的な色♪
透明水彩らしさが味わえる絵具だと思います。
インダンスレン系 PB60

こちらはメーカーによって、名前が全く違うので、同じ色を被り買いしてしまうことがあります。ただ、大抵のメーカーで見かける定番色の一つ。なので、名前と顔料をチェックしてから買いに行く方がよいです。
かなり暗い青で、彩度も低めです。いわゆる紺色です。色も滑らかで、伸びのいい色です。
インダンスレンブルーの色味はメーカーによって幅があり、同じ顔料でも雰囲気が異なります。
こちらのインダンスレンの特徴は薄めても、彩度が低く、ブルーグレーのような落ち着いた色味になることです。プルシャンブルーも深い色味ですが、プルシャンブルーの場合は薄めると明るめの色になるところが違います。
ホルベイン | ロイヤルブルー |
ウィンザー&ニュートン | インダンスレンブルー |
シュミンケホラダム | デルフトブルー、ダークブルー |
マイメリ | ファイアンスブルー |
ターナー | インダンスレンブルー(15mlチューブのみ) |
クサカベ | ※ロイヤルブルー |
セヌリエ | ブルーインダンスレン |
ちなみに※クサカベのロイヤルブルーは、単一顔料ではなく、PB60に赤紫が混ざった色です。
私はホルベインのロイヤルブルーを昔に使っていましたが、使い切ってしまい、シュミンケのデルフトブルーを買ってみましたが、かなり、色味は違っていました。シュミンケのデルフトブルーとダークブルーもかなり色味が違います。
気になって比べてみたら、メーカーごとにそれぞれ色が違いました。

記事で色比較をしています。確認してから買うのがよいと思います。

必須の色ではないけど、深い色がきれいで、つい欲しくなる色✨
その他のブルー
これ以外にも青の絵具があると思います。
それらは、混合顔料と言って、複数の色を混ぜて作られた色です。

白が混ざっている絵具は不透明色です。また別々の青の顔料が混ぜられていたりする絵具もあります。どれも完成度が高く、美しい色です。
ただ最初にそろえるのは、先ほどご紹介した6種類の単一顔料の青の絵具です。この6色を使ってみた後に、混合色の中身を見てみると「この青はウルトラマリンとフタロブルーの混合だな」というように中身が分かるので、性質も推測しやすくなります。
まとめ
私は、上記の6種の単一顔料の絵具から何色か選んで入れています。
初心者の方で、「どの青がいいか迷っている」という方におすすめなのは、「ウルトラマリン」と「フタロブルー」の2種類です。クセがなく、汎用性の高い色だと思います。

なんだかんだで一番使うのはこの2色の青!
基本7色の記事にも入れています。どこのメーカーでも必ず買えるような定番の色です。ちょうど赤よりの青(ウルトラマリン)、黄色よりの青(フタロブルー)と2種類あると、混色のときにとても便利です。
基本7色の記事はこちらから↓
青の絵具はたくさんあって迷いますが、赤や黄色に比べると、顔料の種類は少なく意外にシンプルです。大体どこのメーカーでも似たようなラインナップです。名前が違うのがややこしいですが、顔料に注目すると、ほぼ6種類です。顔料が同じであれば、大体同じような絵具、という認識で大丈夫です。

6種類、全部欲しくなっちゃう!
6種の青はそれぞれ、色だけでなく、粒子の大きさや、着色度など、性質も違います。また、同じ色でも、メーカーによっては色味や粒子の大きさが少し違うこともあります。ぜひ使い比べをしてみてください。
ターコイズブルーはどれに属するのですか
シュのco-turquoise ブルーは 1番好きです
ターコイズブルーはこの中には入っていません。
強いていうなら顔料はコバルトブルー(PB28)と顔料が同じで、仲間と言えるのですが、色合いは全く別なので、この中には入れていないのです。
コバルトブルーは実はとても分類が難しく、こちらの記事に顔料と色みの解説をしています。https://k-garden.art/cobaltbluepb28/
またターコイズの色は、また独立したこちらの記事にメーカーごとの色を載せてますのでぜひ!https://k-garden.art/cobalt-turquoise/