今回は透明水彩のウルトラマリンブルーについて、書きたいと思います。
ウルトラマリンブルーとは
ウルトラマリンブルーは、伝統的な色味です。昔は鉱石ラピスラズリから取った色で、金よりも高価でした。
今は、安価な顔料に置き換わり、誰でも手に取れるようになりました。現代に生まれて良かった!

ウルトラマリンは、今ならどこでも買える。
そして安い!!

色は赤みがかったブルー。透明度は高く、粒子が大きく粒状化する色です。暗い色のようにも感じますが、実際は彩度が高い鮮やかな色味です。
青の基本色で12色セットに入っていることが多いです。どのメーカーにも必ず、「ウルトラマリン」という名前で入っています。

私はこのウルトラマリンブルーが、とても好きです。メインで使うこともありますが、ポイントで使うことが多いです。ウルトラマリンと青味のピンクや紫を組み合わせることが多いです。
ウルトラマリンはどちらかというと、赤や紫との相性がいいブルーです。もちろん、黄色やオレンジと混ぜてわざとくすんだ色を作ることもできます。
鮮やかながら、落ち着いた感じの青なので、他の色ともなじみやすく、使い勝手が良いです。影色を作ったり、グレーを作ったり、様々なトーンの色が作れるので、混色でも欠かせない色です。
ウルトラマリン比較
色々なウルトラマリンの絵具を比較してみたいと思います。
シュミンケホラダムのウルトラマリン
シュミンケホラダムのウルトラマリンは3種類あります。

- ウルトラマリンファイネスト(単一顔料、一般的なウルトラマリン。他メーカーに比べ、赤みが少ない。ウルトラマリンにしては粒子が細かめ)
- ウルトラマリンブルー(ウルトラマリン+フタロブルーとの混合、ややくすんだ色味。価格が抑えられている)
- フレンチウルトラマリン(粒子が荒く、かなり粒状化する。赤みが強く、紫がかっている。)
この中では、ウルトラマリンファイネストが一番おすすめです。ウルトラマリンファイネストは、他の色と混ぜた時分離しづらく使いやすいです。フレンチウルトラマリンの紫がかった青は、ホルベインのウルトラマリンディープと少し似ていますね。
ホルベインのウルトラマリン
ホルベインのウルトラマリンは2種類あります

- ウルトラマリンディープ(ウルトラマリンライトより、濃さのある色で、色の幅が広い。紫がかった青。粒状化の色)
- ウルトラマリンライト(明るめの色。)
ホルベインのウルトラマリンディープは、紫がかった色で、好みではありますが、分離もしやすいし、ちょっと癖があるかなと思います。ウルトラマリンライトは色が明るく、色幅が狭いです。
ウィンザー&ニュートンのウルトラマリン

ウィンザー&ニュートンのウルトラマリンは色が濃く濃厚です。いわゆるウルトラマリンで、使いやすいです。この他に粒子の荒い、フレンチウルトラマリンという色もあります。
ターナーのウルトラマリン

ターナーのウルトラマリンは1種類のみです。明るい発色で、色が澄んでいます。くせがなく一番使いやすいと思います。ウルトラマリンの中では粒子が小さく滑らかだと思います。そのせいか、分離しづらく有難い^^;
私は一番気に入っています。
セヌリエのウルトラマリン

セヌリエのウルトラマリンも2種類あります。
- ウルトラマリンライト(色が明るめのウルトラマリン)
- ウルトラマリンディープ(色に深みのあるウルトラマリン)
粒子の荒さではなく、色の濃さに差があるようでした。
セヌリエのウルトラマリンは、他のメーカーのものと比べて、特に、色が濃く、鮮やかです。とても発色が強いので、はっきり青を効かせたい、ここぞというところに使うと、とても色が際立ちます。
セヌリエは、どの色もはっきりしていて、色が濃く鮮やかです。乾燥させても固まりにくいのが、欠点といえば欠点ですが、はっきりした強い発色が好みの方にはおすすめです。
マイメリのウルトラマリン

マイメリのウルトラマリンも2種類です。
- ウルトラマリンライト(粒子が細かく滑らかなタイプ)
- ウルトラマリンディープ(粒子が荒く、色も粗密なタイプ)
こちらは粒子の荒さに差があります。
ウルトラマリンライトは、粒子が細かく、滑らかで発色も強めです。ウルトラマリンディープはやや紫がかっていて、粒子が荒いです。色も薄めに発色します。
初めて使うなら、ウルトラマリンライトが、混色でも分離しにくくおすすめです。
ただ、ウルトラマリンディープも、重ね塗りに使ったりすると、独特の効果があって面白いです。
クサカベのウルトラマリン

クサカベのウルトラマリンも2種類です。
- ウルトラマリンディープ(粒子が荒く、粗密なタイプ)
- ウルトラマリンライト(粒子が細かく、滑らかなタイプ)
画像はウルトラマリンライトのみです。
クサカベのウルトラマリンも発色が強く、色がはっきりしていて鮮やかです。ただ、少し溶けづらいので、濃いめに塗ろうとするとすぐに絵具を消費してしまいます。
安価なウルトラマリンの中では一番色がはっきりしています。
どのウルトラマリンが最強!?
ウルトラマリンは、各メーカーで2〜3種類の絵具が売られていることが多いです。
よくあるのが、粒子の荒さが違うものが売られているパターンで、この場合は、初心者には粒子が細かいタイプがおすすめです。ウィンザー&ニュートン、シュミンケホラダム、マイメリ、クサカベなどです。

粒子が荒いタイプは、他の色と混ぜると分離しちゃうよ
ホルベインやセヌリエは、粒子の荒さというより、色の深さに違いがある2種類が売られています。この場合はどちらの色を選択しても大丈夫です!
色はどのウルトラマリンも同じような感じです。そこまで差は感じません。
ホルベインのウルトラマリンディープだけは、色がかなり紫がかっていて、個性的です。
ウルトラマリンは粒子が荒くなるほど、紫がかった色になるのですが、それにしてもホルベインの色はちょっと変わってます。(この色が好き〜という人も多いです)
鮮やかではっきりした青が好きなら、クサカベやセヌリエ。
滑らかさにこだわるならシュミンケホラダム(ただ、発色はこの中で一番落ち着いている)
深みがあるのが好きならウィンザー&ニュートン。
コスパがよいのは、ターナー、クサカベ かな〜と思います。

ううむ。
どれも捨てがたい…!
ウルトラマリンで描いてみた
ウルトラマリンで色々描いてみました。
透明水彩で紫陽花を表現するのにぴったり。紫とグラデーションさせてみるとこんな感じ。

白いものの影の色のベースに。冷たい感じ、硬質な感じを表現できます。
色々表現できます。
青は2種類あると使いやすい
絵具をそろえるとき、青は2種類あると混色の幅が広がります。
- 緑がかった青(フタロブルー、セルリアンブルー、プルシャンブルー)
- 紫がかった青(ウルトラマリンブルー)
緑系の青には選択肢がいくつかあるのですが、紫系の青はウルトラマリンのみです。ちなみにコバルトブルーは中間くらいの色味です。緑系、紫系、両方の青をパレットに入れておくと便利!

こんな感じの青が2色あると便利だよ↓


混色の時、両方の青で混色を試しておくと、感覚をつかみやすいです。
例えば、黄色と青を混ぜるとき、黄色+フタロブルー、黄色+ウルトラマリン、両方の混色をしてみて、それぞれどういう色ができるか試す、という感じです。
この記事では、青の絵具を顔料ごとに紹介しています↓
もう一つの基本の青、フタロブルーはややこしいので、ぜひ読んでみてください↓