透明水彩ではピンクを作るのに赤の絵具を薄めて使います。その中でも、いわゆるピンク!ザ・ピンク!を作れるおすすめの顔料を紹介します。
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透明水彩で、いわゆるピンクを作るには?
12色セットや、このサイトで紹介している基本7色にも赤は入っています。ピンクは赤を水で薄めれば作れます。が、意外と思ったようなピンクが作れないことも。
ん〜これじゃないかなあ?
いや、こういうピンクもやさしげで可愛いんですけどね。
欲しいのはこっちのピンク!↓
これだよ、このピンク!
花を描こうと思ったりすると、こういった感じのすっきりしたピンクが欲しいことありますよね。
ピンクといえばオペラ?
ピンクといえばオペラかな?
ピンクといえば、オペラを思い浮かべる方も多いかもですね。
オペラはとても鮮やかなピンク色なのですが、少し色が浅いのと、耐光性が低いという問題があります。もちろん、描いた作品をスキャンしてネットで公開、やファイルで保存して楽しむ分には問題ありません。
ただ、描いた作品を、後になってから、販売したり飾って楽しみたくなることもあるかもしれません。
耐光性実験では、日当たりにいい場所に貼っておいたオペラ絵具は2週間くらいで鮮やかな蛍光成分が抜けてしまいました。
なので、耐光性の高い赤絵具の中から、オペラの代わりに使える色の選択肢も考えておくといいのかな〜と思います!
PR122はオペラの代わりに使える赤絵具です!
でまず、オペラの代わりに使える絵具として、試しておきたいのが、キナクリドンマゼンタ(PR122)という色です。色はオペラの方が鮮やかですが、色自体はかなり似ています。鮮やかなピンクを作る色として使うことができると思うので、ぜひ参考にしてみてください。
だいたいどのメーカーでも売っています。定番の顔料みたいです。「キナクリドンマゼンタ」という名前が付けられていることが多いですが、メーカーによって名前が違うので、それを整理しようと思います。
PR122のメーカー別色名
色比較と名前の表です。
ホルベイン | キナクリドンマゼンタ |
ウィンザー&ニュートン | キナクリドンマゼンタ |
シュミンケホラダム | パープルマゼンタ |
ターナー | キナクリドンマゼンタ |
マイメリ | ベルチーノバイオレット |
セヌリエ | ヘリオスパープル |
クサカベ | モーブ |
名前は違うけれど同じ色です。色味もほとんど同じでした!
このメーカーによって色名が違うだけなのですが、知らないと別の色のような感じがしてしまうんですよね。
私はシュミンケのパープルマゼンタが、濃厚かつ滑らかな感じがしてとても好き、と思っていたのですが、ホルベインやターナーのものでも同じように鮮やかでキレイでした。溶けやすく伸びのいい色なので、どのメーカーのものでも大丈夫です。
一応メーカー比較もしておきますね
色味はどれもそこまで差がないですね。シュミンケホラダムのパープルマゼンタはやや紫がかっています。色が深すぎるので、ピンクとして使う時はたっぷり水を混ぜます。
個人的な私のおすすめは、ホルベインのアーチストハーフパンのキナクリドンマゼンタとマイメリのベルチーノバイオレットです。この2色は、色が鮮やかで、滑らかでとても均一に塗りやすかったです!(ホルベインのハーフパンはチューブのものと全く違う感触で、ハーフパンタイプの方が滑らかです)
今度買い換えるときは、マイメリのベルチーノバイオレットにしようかな…
キナクリドンマゼンタPR122使い方
一応、使い方の一例をご紹介しますね!
単色で使う
ピンクとして使う時は、水で薄めて。
かなり濃厚な色なので、たっぷり水を加えないとピンクになりません。薄めた時は、水分を雑巾やティッシュで調節することを忘れなく〜
うまく塗れないときには白を少量混ぜてしまうのもおすすめです。いわゆるピンク!な色になるので感覚的に塗りやすいです。そしてムラにもなりにくいです。最近気づいた白の使い方です!
濃く塗ると、濃厚で深みのある赤紫としても使うことが出来ます。この色もとても活躍する色です。
混色して使う
キナクリドンマゼンタ(PR122)は、青系と混ぜると鮮やかな紫を作ることができる色です!とても便利な組み合わせです。滑らかで、色もはっきりしているので、混色向きの絵具です。
紫やインディゴなどと混ぜるのもおすすめ。茶色やオレンジとも混ぜることができます。
詳しくはこの記事にて。紫を作る記事はこちら
キナクリドンマゼンタPR122とオペラの違い。
ちなみにほとんどのオペラにはPR122と蛍光顔料の混合で、耐光性実験では、蛍光顔料の色がさーっと2週間で落ちてその後PR122の色が残る感じでした。なら最初からPR122を塗っておくでもいいかなと。結局はムラになっちゃうんです。
ただ、キナクリドンマゼンタ(PR122)でもかなり鮮やかなピンクを表現できるので、十分のこともあると思います。
なのでPR122を基本の色としておいて、より彩度を求める時にオペラを使うようにしてもいいかもしれません。
ピンクといえばオペラ!と思い込んでたけど、
キナクリドンマゼンタでもきれいなピンクが作れるんだねえ!
比較するとこんな感じです。
オペラはかなり鮮やかです。ですが色相(色相環での位置)はほぼ同じだと思います。
こちらはオペラ
こちらはキナクリドンマゼンタ(PR122)
キナクリドンマゼンタ(PR122)も乾く前はかなり鮮烈な色なのですが、乾くと色はちょっと沈みます。なので、オペラとは彩度で差がありますね。やはり、鮮やかさを求める場合は、オペラの軍配が上がります。
混色の場合ですが、キナクリドンマゼンタ(PR122)は色に深みがあるので、かなり作れる色も深みのある紫も作れます。そういった意味ではPR122は汎用性が高めかもしれませんね。オペラはちょっと色が浅いのです。
終わりに
つい最近まで、顔料の知識が無だったので、この顔料の絵具がほぼ全てのメーカーにあることを知りませんでした。(シュミンケホラダムだけの色だと思っていましたが、調べたらどのメーカーにもありました。名前に騙されてしまいますね💧)メジャーな顔料の1つのようです。
他の顔料との相性もいいようで、他の混合色にもよく含まれている色だったりします。(顔料の表の中でもPR122はよく見かけます。)
描くものやジャンルにもよりますが、キナクリドンマゼンタがあるだけで、グンと混色の幅が広がります。特に青系との混色に便利です。とても便利な赤紫です。顔料で見てもこの色域を持った顔料はPR122以外では見かけません。ちょうどピンクにぴったりの色だと思っています。
そしていわゆるピンクが作れる絵具としてとても重宝しています。特に花を描く人にとっては、必須の色なのでは?と思っています。
私一押しのPR122↓
ちなみにですが、ホルベインのキナクリドンマゼンタは、三原色のマゼンタにも指定されている色です。マゼンタはPV19が担当することが多いですが、PR122の方が鮮やかな紫を作ることができる傾向にありますね。
三原色の記事も読んでみてくださいね〜。
他にも赤の絵具を紹介しています。サイトでも青の絵具はたくさん紹介しているのですが、赤の情報はまだ少なめです!