今回は透明水彩の透明色、不透明色の比較をしてみたいと思います。透明水彩の不透明色って何だ?と思った方、必見です!
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透明水彩絵具の透明度について
透明水彩絵具のパンフレットを見ていると、透明度というものが○や□で書かれています。メーカーによっても表し方が違うのですが、大体こんな感じで分かれています。
下に行くほど、透明度は低いということになっているようです。
実は透明水彩絵具は使われている顔料によって透明度がちがうのをご存知でしょうか?
透明水彩なのに、透明色、不透明色ってどういうこと??
不透明水彩との違いってなんだろう?
と、様々な疑問が湧いてくるかもしれません。
今回は、それを徹底的に解説してみたいと思います。
不透明色は大きく分けて2種類ある
不透明色には大きく分けて2種類あります。
それは、先ほど紹介した不透明の顔料の色と、白が入ったパステルカラーです。
パステルカラーは不透明色である白の顔料(PW6)が混ざっているために不透明色になってます。色のついた顔料は透明色であることもあるので、これは白の顔料の不透明性の影響を受けています。
このパステルカラーに関しては、また別に記事を描いているので、詳しく知りたい方は記事を読んでみてください。
今回は顔料が不透明なタイプについて焦点当てたいと思います。
顔料によって透明度が違う
実は同じ透明水彩でも、絵具に使われている顔料によって、透明感が強いもの、不透明なものがあります。これは顔料の特性によって違いが出ています。
例えば、顔料が不透明なものとして、
カドミウムレッド(PR108)
カドミウムイエロー(PY35)
ヴェネチアンレッド(PR101)
オキサイドオブクロミウム(PG17)
チタニウムホワイト(PW6)
ランプブラック(PBk6)
などがあります。これらの顔料はどのメーカーの絵具であっても不透明です。逆に、フタロ系や、キナクリドン系など、顔料が強い透明感を持つものもあります。
絵具に入っている顔料によって透明度が違うんだね!
不透明色の方が少ないので、覚えておくと便利です。
透明水彩の不透明色ってどのくらい不透明?
ねえ、この不透明色ってどのくらい不透明なのかな?
不透明なら、不透明水彩でもいいんじゃないかなあ
そう思っちゃうよね💦
実は透明水彩の不透明色は、そこまで不透明じゃないの
そう、私もひよこちゃんと同じ疑問を持った事があったので、比べてみたことがあるんです。
果たして透明水彩の不透明色はどのくらい隠蔽力があるのか…?
黒い紙に塗ってみるのが一番分かりやすいと思います。
一番上のクロームイエローは、不透明水彩(ガッシュ)の黄色です。下が黒い紙であっても、透けてはいません。しっかりした隠蔽力がある事が分かりますよね。
上から2番目のカドミウムイエローが、透明水彩の不透明色■です。黒い紙の上でもしっかり発色しているのですが、不透明水彩のクロームイエローと比べると、透明感が感じられる感じませんか?結構不透明水彩(ガッシュ)とは顔料の濃さが違うんだな、と思います。これはかなり厚塗りしているので、水多めで溶いていくともっと薄くなると思います。
上から3番目のオーレリオンヒューは半透明色。4ランクあるうちの2番目に透明感が強い色のカテゴリーに入っています。下の黒がかなり透けてます。
一番下のトラスペアレントイエローは、黄色では珍しい完全な透明色です。ここまで来ると、絵具の色が見えないです。下の黒が完全に透過してます。むしろ黄色が全く見えない…恐るべし。
真っ黒の上に塗るのはあまり現実的ではないかもしれない?ので、水色を塗った上で比較してみるとこんな感じ。メンバーは一緒です!
重ね塗りで、完全に下の色を覆い隠したいのなら、不透明水彩を選ばないとダメそうです。
透明水彩の不透明色は、透明色と比べると確かに不透明ですが、不透明水彩と比べると透明なんです(ややこしい笑)
透明水彩の透明色<透明水彩の不透明色<不透明水彩
って感じかな
透明色VS不透明色
混色や重ね塗りでどんな違いが出るか、色々比較しました。
カドミウムイエロー■VSトランスペアレントイエロー□
不透明色のカドミウムイエローと透明色のトランスペアレントイエローを比べてみました。
カドミウムイエローの方がマットな感じです。トランスペアレントイエローは、乾くとムラになります。
混色してみると結構違いた出ます。
両方とも透明色のフタログリーンと混ぜているのですが、作れた黄緑の透明度がかなり違いますね。
こちらはカドミウムレッドと混色しています。
カドミウムレッド■VSパーマネントスカーレット□
今度は不透明色のカドミウムレッドと透明色のパーマネントスカーレット(ターナー)の比較です。
カドミウムレッドの方が色が濃いめです。パーマネントスカーレットは、色自体も淡く、どちらかというとピンクです。
重ね塗りしてみると、かなり差が出ますね!パーマネントスカーレットの方はかなり下の色が透けています。
青に重ねると、カドミウムレッドの方は色が足されて深い色になってます。パーマネントスカーレットの方は、あまり色はつかないですね。少し、色を調整するのに使えますね。
ヴェネチアンレッド■VSトランスペアレントブラウン□
茶色の透明色は珍しいのです。後述しますが、シュミンケホラダムが得意なのです。
透明色とトランスペアレントシエナ(シュミンケ)と不透明色のバーントシエナとの比較です。
トランスペアレントシエナは、色自体も淡く軽やかです。バーントシエナと同じ顔料なのですが、顔料の濃度が違うのかもしれません。絵具の減りも早いです。重ねてみるとかなり透明感があります。
一方不透明色のバーントシエナは、色が強く、少しだけの色でも伸びが良くしっかり着色します。
不透明色にはこんな特徴がある事が多い
絵具が溶けやすい
不透明であることと、直接の関係はないかもしれませんが、溶けやすい色が多いです。少ない水でも筆で色を取りやすく、色も濃いめに取れます。
均一に塗りやすい
粒子が重たい色が多いので、色が動き回りにくく、コントロールしやすいです。
ムラなく塗るのも、グラデーションも、きれいに作りやすいです。
カドミウムイエローやカドミウムレッドは、ムラなくきれいに塗りやすくグラデーションも成功しやすいです。
反面、にじみは透明色に比べて、広がりにくいです。
発色が強い
発色が強い色が多いです。混色の時にも影響力が強く、相手の色を食ってしまうことも。
ですが、濃い色を塗りたい、深みのある色を作りたい時には重宝することもあります。
特に黄色は混色で負けがちな色なので、カドミウムイエローは頼もしい存在です。
透明色に強いメーカー
シュミンケホラダムは、珍しい透明色を多く扱っています。同じ色域の不透明色と透明色両方がある感じです。このバリエーションは他のメーカーにあまりないので、この色の透明色ないかな〜みたいな感じで探すとあります。
例えば茶色や黄色、オレンジの透明色はあまり他メーカーになくて珍しいです。色もあまり重たくないです。
シュミンケホラダム全色、透明感があるのではなく、不透明色と透明色両方あって選べる、という感じです。
バリエーション豊かなんだね!
不透明色もパレットに入れよう
「不透明色」という言葉に誤解があって
「不透明色は透明水彩の透明という長所が生かされていないから使わない方がいい」
「不透明色より透明色の方が優れている」
のような記述を見かけた事があり
それは誤解だ!!
と心の中で叫んでいたので、今回記事に書けてとてもスッキリしました。
個人的には、不透明色はパレットに何色か入れておくととても便利です。透明感の強い色だけじゃ物足りないこともあります。必ずパレットに何色かは入っています。特に替えが効かないのは、カドミウムイエローとベネチアンレッドかなと思います。
その2色は記事書いてますのでぜひ。
そこまで不透明じゃない
溶けやすさや発色など不透明色にはメリットも多い