ウィンザー&ニュートン(プロフェッショナル・ウォーターカラー)のドットシートを買って、色見本を作ってみましたので、レビューしてみようと思います。全96色です。
Table of Contents
ウィンザー&ニュートンとは
ウィンザー&ニュートンは透明水彩発祥の地、イギリスの絵具メーカーです。世界で一番初めに透明水彩絵具を売り出したメーカーということです。
ウィンザー&ニュートンの透明水彩には、プロフェッショナル・ウォーターカラーと廉価版であるコットマン・ウォーターカラーがあります。今回はプロフェッショナル・ウォーターカラーの全色レビューをします。
ドットシートって何?
全色試せるように、お試し用の絵具が少しだけついた紙です。本当に少しだけなので、伸びの悪い色は色がわかりにくいですが、実際の色を確認できますし、色同士の比較もできて便利です。
水彩絵具は、色味だけでなく、透明度や粒子の大きさ、伸びの良さ、着色度などにも違いがあります。なので、その辺りが、パンフレットのカラーチャートや店頭の色見本を見るだけでは分かりにくいんです。ドットシートを買って実際に塗ってみると、その色がどんな色なのかということが、肌で実感できて分かりやすいです。
次に買い足す絵具の判断材料にもなります。透明水彩絵具は一本使い切るのに時間がかかるので、買う前に試すことができるのは嬉しいです。実際に塗ってみると「この色好き」「使いやすそう」という色も見つかります。
少し、「透明水彩慣れてきたから、絵具買い足ししたい」という方や、絵具のことをもっと知りたいという方におすすめです。
最近、各社ドットシートの販売がありますが、ウィンザー&ニュートンのドットシートは、画歴が浅い方にもおすすめです。理由は、色数が多すぎないことと、絵に必要だと思われる主要な色がバランスよく入っていること、単一顔料の絵具が多いことです。色々なドットシートを塗って、様々なメーカーの絵具を研究していますが、ウィンザー&ニュートンのラインナップはバランスがいいです。(価格のバランスもちょうどいい)
なので、塗りながら、絵具のこともよく分かり、ちょっと勉強になります。
全色塗ってみた
ウィンザー&ニュートンのドットシートは、絵具のついているところにスペースがあるので、そのまま塗り広げて試すことができます。他に紙を用意しなくて済むのは便利!とてもお手軽です。水彩紙に印刷されているので、実際に作品に塗るイメージで、試すことができます。
透明水彩絵具には、よく伸びて強く発色する(濃いめに色がつく)色と、溶けづらく色が濃くつかない色があります。ウィンザー&ニュートンの絵具は、顔料ごとの個性が、そのまま反映されている絵具なので、濃いものはとても濃くのりますし、薄いものは本当に繊細に色がのります。なので、そのあたりも塗った時に、軽くメモしておくと、あとで参考になります。
ちなみに初心者の方におすすめなのは、伸びがよく、溶けやすい色で、鮮やかで、かつ濃すぎない色です。
この辺りはこの記事で紹介しています、伸びが良く発色に優れた7色です→基本7色について
各色ごとに詳しく!
とてもバランスがよいラインナップ!
黄色系
ウィンザー&ニュートンの黄色系はとても種類が豊富。
定番なのは、ウィンザーレモンやウィンザーイエロー、カドミウムイエローなどですが、透明感の強い黄色や、レモン色、オレンジイエローなど、バリエーション豊かで、とてもよいです。
黄色は青や緑と混ぜて、色々な種類のグリーンを作れるので、とても大事な色です。初心者にはカドミウムイエローが強めの発色でおすすめです。不透明であることを気にされる方もいますけど、そこまで透明水彩の不透明色はそこまで不透明ではないです。
赤系
赤系も豊富です。
朱色のようなオレンジ系の赤、真っ赤、ローズ色、深い赤、オペラなど、色々な種類の赤があります。
カドミウムレッドはやや重ためで粒子感があります。(シュミンケのものは滑らか)
どの赤もしっかりと発色し、伸びも良いのですが、ローズドーレとローズマダージェヌインの2色は淡い色味です。
おすすめの定番カラーはパーマネントカーマイン、パーマネントローズ、ウィンザーレッド(真っ赤)、カドミウムレッドあたりでしょうか。
青系
青はもともとあまり顔料の種類がない色味で、どのメーカーでも大きく分けて6種類の青です。
ウィンザー&ニュートンの場合は、複数の色を混ぜた混合色の青はなく、単一顔料のものがメインで、とても選びやすいです。粒子の大きさや、濃度、色の濃さなどでバリエーションを出しているようです。ちょっと薄い色もありましたが、発色もどれもよく、使いやすいと思いました。
特にウルトラマリン(グリーンシェード)は粒子が荒くないので、混色にもおすすめです。
あとはプルシャンブルーが2種類あるのが面白いです。プルシャンブルーとアントワープブルーです。アントワープブルーは少し色味が抑えられていて使いやすそうです。
青の顔料は大体6種類がメイン、詳しく知りたい方はこちら→透明水彩で人気の色 青、青、青
緑系
グリーンの顔料は種類が少ないので、使いやすいような色味はほとんど混合色です。(それはどのメーカーも同じ。)
混色万能なウィンザーグリーン(中身はフタログリーン)と、便利系のサップグリーンかフッカーズグリーンあたりが万能だと思います。
個人的にはオリーブグリーンの渋い色味が上品で好きです。
ビリジャンとテールベルトは何かの間違いではないかと思うほど、色が薄いです。
茶色、グレー系
適度なバリエーションで、選びやすいです。多すぎず、少なすぎず。茶色系の色は、絵では必ず使うので、ピンポイントで求めていた色味があると嬉しいです。
黄土色系も、定番のイエローオーカー、ローシェンナだけでなく、キナクリドンゴールドやゴールドオーカーなども変わった色味も。
赤茶系も、豊富です。風景や人物では欠かせない色味。ベネチアンレッドが好きです。明るめの色も、重たい色も両方あります。
定番の茶色はバーントアンバーですが、ウィンザー&ニュートンはバンダイクブラウンも深みがあって美しいです。
茶色系は、黄土色、赤茶色、定番の茶色(バーントアンバー)の3種類があると便利です。
グレー、黒も、ペインズグレー、ニュートラルチント、アイボリーブラック、ランプブラック、マースブラックと定番は全て揃っています。ペインズグレーが汎用性が高く、特におすすめです。
JEWELシリーズ
世界で限定色で展開していた色が、定番色の仲間入りをしたようです。
- トランスペアレントオレンジ
- キナクリドンバイオレット
- スマルト(デュモントブルー)
- アクアグリーン
- コバルトグリーンディープ
混色では作れないような中間色で、美しい色ばかり!
スマルトは珍しい色味なので、好きな人が多そうかな。トランスペアレントオレンジは、温かみのある赤みのオレンジで使いやすそうな色でした。
カドミウムフリー色
カドミウム系の色はとても優秀な色なのですが、有毒です。といっても、普通に絵具として使う分には問題ないそうです。でも、小さなお子さんがいる家庭、手に傷があるなど、気になる方もいるかもしれません。
ウィンザー&ニュートンでは、そういったカドミウムカラーを代替するシリーズが売られています。カドミウムフリー色と本物のカドミウムカラーと塗り比べてみましたが、若干色の強さが本物のカドミウムカラーに適わないものの、かなり肉迫していると思いました。絵の中で使う分には、ほぼ同じような感じで使えると思います。
私は手荒れが酷く、夏場は手が傷だらけになってしまうので、カドミウムフリー色はとても心強く感じました。
終わりに
いかがでしたか。
ウィンザー&ニュートンのドットシート、試してみたい方はぜひ!画材店か、Amazonでも売っています。実際に塗ってみると、絵具の性質が分かりやすいので、とてもおすすめです。
ウィンザー&ニュートンのラインナップを見ていると、世界で一番普及している絵具というのは納得です。
- 値段とクオリティのバランスがよい。
- ラインナップも多すぎず少なすぎず、選びやすい。
- 単一顔料と混合色のバランスもよい。
ただ、何色か、恐ろしく色がつきにくい色もあったので、まずは定番の色から買っていくと良いと思います。
ウィンザーカラーというのがありますけれど、それはウィンザー&ニュートンのオリジナルの色ということではなく、耐光性と混色に優れた現代的な有機顔料ということのようです。他メーカーでも売っている定番カラーばかりですので、名前に過度な期待は持たないように…。
初心者の方はとりあえず7色揃えるのがおすすめです↓
他のメーカーのドットシートのレビュー↓