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PV19について
基本7色の記事で紹介しているキナクリドンローズ。この赤色絵具は透明水彩の基本の赤として、ものすごくおすすめの色です。ですが、ですが!
こちらの色はメーカーによって色名がバラバラ!!見事に違う名前で呼ばれています。
なので一応こちらのブログ内では「キナクリドンローズ」と統一しています。
キナクリドンローズの顔料はPV19。この顔料はメーカーで色差があり、さらに赤以外にも、紫など別の色味を持つ顔料です。そういうややこしい事情もあるので、しっかり整理してご紹介したいと思ってます。
PV19はキナクリドン顔料
PV19はキナクリドン顔料です。キナクリドン顔料は1950年代に開発された、比較的新しい顔料です。
キナクリドン顔料にはいくつか種類があり、黄色、オレンジ系から、赤、紫など多くの色を持っています。
キナクリドンファミリー♪
もともと赤やピンク、紫系の色は、もともと耐光性の低い顔料が多く、昔の画家は赤を使うときは色褪せとの戦い!だったようです。※今でもアリザリンクリムソンやマダーレッドなどは、耐光性低め。
キナクリドン系の赤や紫は、非常に優れた耐光性を持っているので、それまでの赤を代替する優秀なシリーズとなっています。また、優れた耐光性だけではなく、色の鮮やかさもそれまでの赤とは一線を画していました。
中でも今日の主人公「PV19」は、透明感が強く、かつ鮮やかなローズレッドの色味で、各メーカーの三原色のマゼンタに指定されることが多い色です。
PV19の種類
キナクリドンローズ(PV19)は当サイトのおすすめ7色の赤にも入れています。とても鮮やかな赤で、発色も強く、伸びもよいので、混色でもそのままでも大活躍ですし、薄めてピンクにしても色がしっかり残ります。

ところで、このPV19は同一の顔料でありながら、様々な色味を持つ顔料のようです。なので、メーカーによっても色が違うし、同じメーカーの中に2〜3種類のPV19が売られていたりします。
あれ?いくつも種類がある…
どれを買えばいいのかな?
ブログ開設当初、顔料の整理をしていたところ、同じメーカーなのにPV19の色が2、3種類あり混乱していました。「どういう違いなのか分からない💦」と思っていたのですが、よくよく整理してみたらこんな感じでした。
大きく分けて3種類
- 明るめのローズレッド(ピンクにも見える明るい赤)
- 深みのあるローズレッド(深めの赤)
- 赤紫(1、2のローズレッドとは全く違う色)
です。1と2のローズレッドの色味は、基本の赤として使える色です。これらを中心にご紹介したいと思います。(3の赤紫の色についてはまた今度別の記事で…気になる人はメーカーのカタログで探してみてください)

左が1の明るいローズレッド、右が2の深みのあるローズレッドです。
PV19の種類、メーカー比較
1.明るめのローズレッド
これは衝撃だったんです。どのメーカーもほぼ同じ色です。あまり色差のない顔料ってあるのですが、これは衝撃でしたね。ただ、名前は全て違うので自力で見つけるのは難しいと思います。
色はかなり明るい赤。場合によっては色が明るくてピンクにも見えることも。濃い部分の色域を持っていなくて、べったり濃く塗っても明るい赤です。濃いめのピンクにも見えるかな。
どちらかというと混色で彩度が落ちにくいのは、こちらの明るめローズレッドです。

色々なメーカーのものを塗り比べてみましたが、ほぼ同じ色!衝撃を受けました。名前を隠したら絶対に判別できないレベル。
同じ色なのにメーカによって全部名前が違うので、整理しておきますね。
| ホルベイン | キナクリドンレッド |
| ウィンザー&ニュートン | パーマネントローズ |
| シュミンケホラダム | ルビーレッド |
| ターナー | キナクリドンチャイナローズ(海外色) |
| クサカベ | ルビーレッド |
| マイメリ | ローズレーキ |
| セヌリエ | ローズマダーレーキ |
ホルベイン、クサカベはPV19は1色のみの展開です。特に注意なのが、ホルベインのキナクリドンレッドですが、ウィンザー&ニュートンやシュミンケホラダムのキナクリドンレッドとは別の顔料、別の色味だということです。名前は同じですが、全く違う色なのでご注意を…
ターナーのキナクリドンチャイナローズは、海外色15mlチューブの方にだけあります。
ローズっていう名前がつけてるメーカーが多いね。確かにバラ色🌹
2.深みのあるローズレッド
1の明るめのローズレッドに比べると、深みのある赤です。1の明るめのローズレッドほど明るくはないのですが、しっかり薄めれば鮮やかなピンクの色も持っています。濃く塗るとかなり深い赤です。

色の幅は広いので、表現の幅は広いです。
静物や自然を描くときはこちらの方が使いやすいかも…
イラストの場合でも「落ち着いた色合いが好み」という場合は、PV19の深みのローズレッドがしっくりくるかもですね。
私はこのシックな色合いも好き♪
| ウィンザー&ニュートン | パーマネントカーマイン |
| シュミンケホラダム | パーマネントカーマイン |
| ターナー | ローズレッド |
| マイメリ | プライマリーマジェンタ |
| セヌリエ | カーマイン |
国産のメーカーにはあまりなかったです。ターナーのローズレッドは5mlチューブ、15mlチューブ両方あります。
マイメリのプライマリーマジェンタは明るめなので、もしかしたら、1の明るい赤の分類に入るのかもしれません。ドットシートの量が少なすぎたので、濃く塗ることができず判別ができませんでした。(後で変更するかもしれません💦)
シュミンケホラダムのパーマネントカーマインは12色セットにも入っています。私はこの色をパレットに入れていることが多いです。深みがあり、使いやすいです。
PV19は混色に強い
「1明るめのローズレッド」と「2深めのローズレッド」、どちらのPV19もとても混色に向いています。
青との混色
特に、青系との混色が向いていて、美しい紫を作ることができます。もともとPV19のローズレッドは色が強い顔料なので、混色すると色も深くなる傾向にはありますが、色が鮮やかなので、混色しても彩度が落ちにくいです。


黄色との混色
黄色との混色も悪くないです。とても鮮やかなオレンジが得られます。単色のオレンジに比べると色は弱くなりますが、透明感が出るので、これはこれでとても使えると思います。


透明感があるオレンジ色なので、混色してできた色にも透明感があり、重ね塗りにも向きます。よく果物を塗る時に、上から混色したりしています。
青系とも黄色系とも相性が良いのが、PV19のバランスの良さです。
渋めの混色
また、ちょっと渋い赤を作るのにも重宝します。こんな感じのダークカラーは、他の鮮やかな色と合わせても喧嘩しないので、全体のトーンを整えるのに便利です。

薄めてピンク
水で薄めてピンクにするとちょうどいい色のピンクになるところもお気に入りです。
こちらは1.明るめのローズレッドで作ったピンクです。こっちの方が鮮やかで冴えたピンクです。

こちらは2.深めのローズレッドで作ったピンクです。ちょっと落ち着いたピンクですね。

こうしてみるとこの2タイプは色相や彩度もちょっと違うみたいですね。。
ピンクとして使うなら1.明るめのピンクの方がいいかな?
PV19は三原色のメンバーの常連
PV19は各メーカーが指定する三原色の赤に指定されていることが多いです。
「プライマリーレッド」のチューブの裏を見てみると…PV19である確率が高いです!
1の明るめのローズレッドの方ですね。
なので、とりあえず三原色買ってみたい!けど、どの色選べばいいか分からない!という場合は、赤はこのPV19を探してみるといいと思います。(黄色は鮮やかなものならどれでも大丈夫ですし、青はフタロブルーの一択です)

終わりに
というわけで、正体が掴みきれていなかったPV19のことをやっとまとめることができました!
古いタイプの技法書では、アリザリンクリムソンやマダーレッドが基本の赤として紹介されていることが多いです。が、キナクリドン系の赤が耐光性や透明性、粒子の細かさ、鮮やかさ、発色の強さから考えても、優秀すぎるので、こちらを基本の赤とするのがいいんじゃないかと、個人的には思っています。三原色の赤になっていることが多いですからね。
基本7色の赤としても紹介しています。
PV19は比較的新しい顔料のせいなのか、あまり技法書でも紹介されない色です。混色でも単色でもとても優秀なので、赤としてどの色を選べばいいのかよく分からん、という方はぜひお試しを。月光荘、まっち、以外の全てのメーカーで取り扱いがあるのも心強いですよね。(それだけ優秀な顔料、ということだと思います)
番外編 その他の赤
最近感じたのは、赤は混色で相手の色を濁らせやすい色なので、他にも色々なタイプの赤を持っていると便利なんですね。

そのほかにも
- 朱色系のバーミリオンやカドミウムレッド
- クリムソンレーキやペリレンマルーンなどのダークレッド
- ピンクとしても使えるPR122(キナクリドンマゼンタ)
- 高彩度の赤、オペラ
- 赤茶色のベネチアンレッドやライトレッド(PR101)
などもパレットに揃えておくと便利です(もちろん全部必要なわけではないです)
その他の赤についてのリンクも貼っておきますね。何回も読み返してみると、だんだん知識が繋がってくる瞬間があると思います。お手元にメーカーのパンフレットがある方は、パンフレットの顔料の項目もチェックしてみると発見があると思います!
その他の赤絵具↓ 当然ですけど、最初に買うのは真っ赤がおすすめですね〜。































