最近お気に入りなのが、日本画の筆!これにハマってしまってからというものの、普通の水彩の筆に戻れなくなっています。実は日本画の筆は水彩やアクリル絵具にも使いやすいのでぜひ知ってほしいです!
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水彩にもおすすめな日本画の筆
今回の記事は日本画の筆についてご紹介したいと思っています。水彩筆との違い、日本画筆の種類や使い方などを徹底解説していきます。
なんかよさそうだけど
どれを買ったらいいのかな?
日本画の筆に興味がある人も多いと思いますが、ハードルを感じている人も多いのではないでしょうか。彩色筆からはじまり削用、や則妙筆など用語も難しく、そしてどれがどんな形状でどんな用途に向いている筆なのか、さっぱり分からないですよね!

一見するとそれぞれ形も似ています。よくみると同じ名前の筆でも使われている毛の種類も違いますし、その毛も数種類ブレンドされていることも!この中からどれを選んだらいいのか分からないんですよね。
使ってみると日本画の筆もなかなかいいですよ!
ですが!ひとたび使ってみると、驚くほど使い心地がいいのが日本画筆です。日本画筆は、扱いづらい日本画の絵具に特化した筆なので、とても高い技術で作られています。水彩の筆と作り方製法もちがいます。先端の尖り具合、たっぷりした保水力、絵具を筆先から落とす力、とにかく半端ないです。先端のエッジをきかせた繊細塗りだけでなく、根元を寝かせてふんわり塗ったり、とにかく1本で多彩な使い方ができるのです。
なのでこの記事で、日本画の筆に興味を持ってもらえたら嬉しいです。水彩画でいい筆を探している人におすすめです。
日本画筆の特徴
日本画筆にも色々な種類がありますが、こんな特徴があります。
①獣毛を使用している
ナイロンなどの人工毛ではなく、獣毛を利用した伝統的な筆が多いです。使われる毛の種類は、羊毛が一番多いです。その他にも、イタチ、狸、鹿、猫などバリエーションが豊かなのが特徴です。

②竹の軸で作られている
水彩や油彩の筆の軸は木製やプラスチックで色もカラフルですが、日本画の筆は、竹の軸で作られていることが多いです。なので、軸の色はほぼ同じ。ベージュです。
③穂先が長めで保水力が高い
もちろん種類にもよりますが、穂先がやや長めの筆が多いです。なので、保水力や絵具の粒をキャッチする力に優れています。
そして種類も色々な種類があります。
日本画筆の種類(線描筆)
日本画筆には名前が種類ごとに名前がついています。一見すると形が似ているので、区別がつきにくいので、それが購入のハードルになっていますよね。名前を知っていると急に買いやすくなりますよ!その中からおすすめの筆も紹介します。
・彩色筆
形:丸
まず紹介するのは、どこでも見かけるスタンダードな彩色筆。たっぷり水を含む柔らかい丸筆。むしろコシがなくフニャッとすることが多い。ふわっと絵具をのせるのに向いている。
先端はそこまで尖っていないので、細かいところを塗るのには適さない。広い部分に絵具を広げていくのに使う筆。にじみやぼかしの技法にも向く。

羊毛メイン。価格がお手頃だけど、価格によっては上等なタイプもある。今まで何本も彩色筆を買ってきたのですが、色々調べるうちに、彩色筆にも色々種類があることがわかりました。
・安めの彩色筆…すべて羊毛でできていて、色が真っ白。ふわふわでコシがないので、ちょっとコントロールが難しい。柔らかいので塗るというより、ぼかしによいです。

・芯にイタチや狸が入っている彩色筆…これ、わりとおすすめ。見分けるのは簡単で、中心が黒っぽく色がついているのは芯がイタチか狸。芯がコシがあるので、オール羊毛よりもコントロールが効きやすい。

・長めの彩色筆…穂先が長めの彩色筆もおすすめ。長穂彩色という名前で売っている。水をしっかりふくんで、たくさん塗れる。
・夏毛彩色…彩色といったら白い筆なのですが、夏毛は茶色い筆です。白よりも茶色のほうがやや硬めで、コシがあります。初心者にもおすすめ。
彩色筆はちょっとお値段張るもの方がしっかりしていて水含みもよいです。彩色筆は一口に彩色といっても色々な描き心地があって、1本合わなかったからといって諦めずに色々試してみてほしいです。ふわっとにじませたり、重ね塗り、分離色を分離させるのもきれいにできます。
ただ彩色筆は色を広い面に色をざっくりのせる用の筆で、細部用にはもっと適した筆があります。
・削用筆
形:細長、円錐型
根元が太く先端が鋭い形。一本で広い部分から細かいディテールまで描ける。万能。彩色筆よりも細かいところを塗るのに適している。
これは水彩では万能な筆だと思いました。(個人的にはこれがかなりおすすめ)

彩色に比べて先端が細く、芯もしっかりしていてコントロールがしやすいです。細かいところをきれいに塗れる筆。私の好きな東紅とも似た感じで、万能な筆でした。穂先が短めなので、保水力も適度で、良い感じ。

細かいところも持ち替えなくても1本で塗りも細かいところも塗れるので、どれか1本選ぶなら削用筆かな。しかし、彩色筆に比べるとお高め。でも外れないです。
私が購入したのは、上野の喜屋の削用筆と田中金華堂の削用筆ですが、どちらも水彩の塗りに適しており、おすすめ!
・則妙筆
細長、円錐型

穂先が細いタイプ。削用と似ていて先端の形が鋭いので、細部描写や細い線を引くのにも向いている。削用と違うのはやや穂先が長いということ。なので、長めの線を描くのにはとても使いやすいです。ただ毛先がもったりして、コントロールが難しいようにも感じました。
・隈取筆
形:ずんどう、先が丸い

これはちょっと変わった筆で、どんぐりのようにコロンとした筆です。色を塗るのにも使えるのですが、絵具で塗った部分を水でのばしていく技法に特化した筆。のばし塗り(グラデーションを作り、色をフェイドアウトさせていく)専用の筆。なので、筆の先は丸くなっています。境界をつくらないような塗り方が得意。
付立筆
形:丸
こちらは持っていないので、説明だけ。弾力がある筆で、勢いのある線を描くのが得意な筆。主に水墨画などで、勢いのあるタッチを作るのに使われている万能筆だそう。これはまだ持っていない筆なので、購入次第、ここにも掲載していきますね。
面相筆
形:細い小筆
細く、コシが強い小筆のことをまとめて面相筆と呼びます。イタチや狸が多いですが、ナイロン製の面相筆も。

色を塗るというより、線を引いたり、細部やディテールを仕上げるのに使う筆です。私も何本か持っていますが、面相筆は、細かい部分や細い線をひくのにとても便利です。

日本画の大きめの筆について
日本画の大きめの筆についてもご紹介したいと思います。日本画の筆では、水彩筆よりも大きめの筆があります。これを使うと画面全体に水を引いて、にじませたり、広い面をグラデーションで塗る、など色々な技法を使えたりします。
平筆
平筆も何本かあると便利です。日本画の平筆は羊毛を使用して作られているので色が白いです。平筆はサイズも色々ありますが、大きめの平筆が便利で、下地を作ったり、滲ませるために水をひいたりするのに使えます。少し大きめのものがあると、背景のグラデーションにも使えます。おすすめ!

写真のものは名村大成堂、宮内不朽堂の平筆です。平筆も一見すると同じに見えますが、ボリュームが少なく、絵具を塗るとぺたっとして、コントロール性がよいものから、ふわふわでたっぷり水や絵具を含むものまで色々です。
刷毛
平筆よりも大きい面を一気に塗るのに便利なのが、刷毛です。刷毛は横長に毛がつけられているので、広い部分に水をひきたいときに使います。水張りや、下地に水を引いたり、色をつけるときも刷毛があると便利です。

連筆
連筆は平筆とも刷毛ともちがった大型の筆で、丸筆が横にとりつけられた大型の筆です。見た目もインパクトがあるので、それだけで興味が持ちやすいかもしれません。

平筆や刷毛は横に平べったく毛が植えられているのに対し、連筆は丸筆が1本1本連続で取りつけられているのでより毛のボリューム感があります。絵具や水の含み方が多いです。なので、着色する時も大胆に色をつけることができる魔法の筆です。この筆があると大作を仕上げるのがより楽しくなります。

水彩筆と日本画筆の違い
水彩筆と日本画の筆何が違うのか?日本画の筆を語るにあたってそこも紹介してみたいと思います。似たような見た目の筆であってもかなり違います。
構造のちがい
透明水彩筆: 穂先を金属の口金(くちがね)で固定し、木製の軸に差し込んでいます。これはとても丈夫で、水に強いです。木の軸にも色が付けられていることが多いので、見た目も華やかになります。そして識別もしやすい。
日本画筆: 一方日本画の筆には口金がありません。竹の軸に直接毛が植えられています。金属がない分、とても軽いです。この軽いというのは意外と重要なポイントで、重心が穂先に近くて細かい動きをしやすいと思われます。(平筆は例外で口金が使われています)
ただ、この竹軸は水に浸けっぱなしにすると割れやすいため、水彩筆よりも管理に気を遣います。
水につけっぱなしにしないようにしないと…
穂先の形状の違い製造の違い
水彩筆にもコリンスキー筆などは先端が尖っている筆もありますが、全体的に日本画筆の方が先端の尖り方が鋭いです(もちろん種類にもよる)
これは製造方法の違いが関係しています。水彩筆は型にはめて先端の形を作って大量生産していますが、日本画の筆は長さの違う毛を束ねて1本1本丁寧に作られています。

日本画には複数の毛を使った筆が多い
製造方法の違いが関係していますが、日本画の筆には芯は硬めのイタチ、周りはふんわりとした羊毛、のように複数の毛を使っているハイブリッドな筆も存在します。こういった筆は弾力がありつつも、保水力があり柔らかさもある、というそれぞれの獣毛のいいところどりをした筆になります。
慣れるととっても使い心地がよいです。こういった筆も日本画の筆ならではで、獣資源の乏しいあまり資材を潤沢に使えなかった日本だからこそ発達した職人技術だそうです。

水彩筆も一部複数の素材をブレンドした筆もありますがこのような芯と周りの素材を変えて使い心地をアップさせるものはありません。
日本の技術すごい!
サイズ表記の違い
水彩筆:2,4,6,8号のように号数表記です。この号数表記もメーカーによって少し基準が違うので、同じ号数でも筆のボリューム感は違いますが、ただ、大体このサイズでこのくらいという共通認識はあるので、選びやすいです。一つの筆でサイズのバリエーションが豊かなのも特徴です。
日本画筆:大、中、小のような漢字表記で、サイズ感が掴みづらいです。同じメーカーでもサイズ感は違ったりするので、なるべく実際に見て買った方がいいです。面白いのはサイズが大きくても小さくても先端の細さは同じなので、小さいサイズの方が細部向きということでもなく、大きな筆でも細かい線がかけたりします。違うのは保水力でタンクの大きさが違うという感じです。サイズ展開は丸筆では、(小、中、大、特大)4種類程度が多いです。
重い絵具を吸うか
- 透明水彩筆: 水に溶けた細かい顔料を運ぶことを想定しています。
- 日本画筆: 粒子が粗くて重い岩絵具を運ぶことを想定しています。
- そのため、日本画筆(特に彩色筆)保水力と絵具を持ち上げる力が非常に強いです。もう少し言うと、吸った絵具を紙の上に落とす力というのもあって、それも日本画筆は優れているそうです。
- そのため、日本画筆を水彩画で使うと、一度にたっぷりの絵具を含めるため、大きな面をムラなく塗るのに非常に適しています。少し水分をふきとってちょうどいい水加減にしないと水で画面がびしゃびしゃになりがちです。このあたりの水分量の調整がかなり難しいのも特徴です。ただ、分離色や大きな顔料の絵具はかなり魅力的に塗れるのも事実です。

おすすめの日本画筆、どこで買えるの?
一番買いやすいのは名村大成堂の筆。全国どこの画材屋でも入手しやすいです。
名村大成堂の特選東紅。これは私のお気に入りの筆ですが、柔らかさとコシが両立していて、たっぷり水を使う技法にも最適。にじみやぼかしもきれいにできる上、先が細く機動性も高いです。彩色筆のようなふわっと感と削用筆のような先端の細さがあります。
雅心東紅というエントリーモデルもおすすめ。こちらはよりスリムで水含みが適度なので、よりコントロールが楽です。あまり広い部分を塗らない人に。(イラスト系の人には特選よりも雅心の方が合う!という人が多かったです。)
あとはニッカーの蒼鷹もおすすめ。万人向けです(こちらも製造は名村大成堂)
日本画の筆を中心に見てみたい人は、日本画の画材店をまわって探すのがおすすめ。都内限定になりますが、上野を中心に日本画の画材店がいくつかあります。こちらの記事でも詳しく紹介。店員さんにも相談しながらじっくり購入できます↓
遠くて行くのが難しい人向けに通販で買えるところを紹介します。今回たくさん紹介したのが清晨堂の筆。こちらもHPから購入できます。とりあえずの一本に長穂彩色筆や夏毛彩色はおすすめです。
田中金華堂の筆もオンラインショップで購入可能です。削用筆おすすめです✨
おすすめの筆買ったけど、合わなかったという人へ
日本画の筆は慣れるまでに時間がかかります。ナイロンの筆に比べるとやっぱり柔らかいので、想像していたよりも塗りにくいと思う人も多いみたいです。どうしても手先のコントロールが必要になる感じ。
なので初心者向きというより、中級者〜上級者向きかもしれません。
ですが、いったん慣れると、これがめちゃくちゃ使いやすいのです。先端も細く尖るので、細かい線をひけたり、入り抜きもきれいにできます。あとは筆の腹を使って、絵具を塗り広げたり、粒子の荒い絵具を水に乗せて散らしたり。柔らかいので、重ね塗りも格段に綺麗にできます。とにかく1本で使える技が多いです。
ですが!
最初は慣れなくて難しく感じたな💦
いっぱい練習しよ…
なので、合わないな〜と思っても捨てずに取っておいて欲しいです✨少し慣れたら、なじんでくるかもしれません。私も東紅を最初に使ったころより、2本目、3本目と使ううちに徐々にしっくり手に馴染むようになりました。
また水彩紙が荒いとかすれてしまうこともあります。筆が柔らかいので表面に負けてしまうこともしばしば。水彩紙は細目〜中目くらいに向きます。紙との相性もあるので、色々試行錯誤してみるのもよいかもしれません。
最後に
というわけで、日本画の筆に興味が出てきた方も多いのではないでしょうか?よさそうなんだけどなんとなく敷居が高い感じがするのが日本画の筆。名前が専門的すぎて、どれを買ったらいいのか分からないというのも一つのハードルですよね。今回は、色々な日本画筆を紹介したので、どれか一つでも試してみようという気持ちになってくれたら嬉しいです。
最後に「なぜ最近日本画の筆に注目しているのか」というのもお話しておきたいと思います。
5年くらい前までは、水彩ではコリンスキー筆が使い心地がよいということで定番でした。当時から決して安い筆ではありませんでしたが、頑張れば買うことができる価格でした。ところがここ数年、原毛であるコリンスキーが取れなくなってきている(ロシアを含めた世界情勢だったり、動物愛護の観点だったり)ので、コリンスキー筆が信じられないくらい高騰しています。(リス毛もです)正直言うと価格は上がっているのに、質は徐々に下がっているという悲しい現実。
なので、どのメーカーも新開発のナイロン筆を発表していて、ナイロン筆の質もどんどん上がっています。これからは水彩筆は特殊ナイロンが主流になっていきます。
ところがやっぱり獣毛筆でしかできないこともあるわけです。やはり柔らかさ、しなやかさ、弾力、どうしてもナイロン筆では敵わない部分もあります。そこでコリンスキーに代わる筆はないかな、と思って目についたのが日本画の筆です。日本画の筆は羊毛をメインにしているものが多く、同じ獣毛でも原毛が安定しています。(山羊は家畜として利用されているので、コリンスキーやリスのような野生動物よりは供給が安定しています。)なので、日本画筆も同じように価格は上がっていますが、まだ何とか手に入る感じがある(今後どうなるかは、分かりませんが…)

それに日本の筆をつくる技術は本当に素晴らしいものがあって、絵筆を使う立場としてそういったものを大切にしたいという気持ちも大きいです。
ということでこれからしばらくは新しいナイロン筆と日本画の筆を使い分けしていこうかなと思っています。
日本画の筆に関しては色々購入して、レビューを書いているので、詳しく知りたい人はこちらの記事も読んでみてください!



































