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顔料の基礎知識 メーカーのカタログから読み解く顔料のこと!

今回は絵具の顔料のお話です。

カタログからわかる顔料のこと

皆さんのお手元には、絵具のメーカーカタログはありますか?

私は三度の飯より絵具のメーカーカタログが好きです。これが手元にあるだけで幸せな気持ちになります。

かなり、読みこんでいるので、ボロボロになっています。

ひよこ
ひよこ

書き込みもすごいね💧

この絵具のカタログ、メーカーによって違うのですが、単に絵具のラインナップだけでなく、顔料の情報なども載っているので、実はとても便利です。

私も、ブログやTwitterで色々な画材の情報を発信していますが、情報源は、絵具のカタログが多いです。絵具のカタログの情報を整理して、比較したり、自分の経験と照らし合わせて記事を作ったりしています。

なので今回はメーカーカタログから読み解く顔料のお話をしたいと思っています。最後に、カタログにはのっていない、塗ってみないと分からない、顔料のプチ知識をのせています。

顔料とはなんぞや

絵具は何で出来てる?

大手のメーカーは使用している顔料を公開しています。

顔料とは色のついた粉で、絵の具に色をつけている要素です。顔料は粉の状態で、これだけでは、紙にくっつかないので、メディウムを混ぜて、絵具を作っています。絵具は、顔料+メディウム(顔料を紙にくっつけるベタベタした糊状のもの)で出来ています。

メディウムは、アラビアゴムがメインで、メーカーによって少し違いますが、それほど差があるものでもありません。

絵具に、どのような顔料が使われているのか。というのがとても大事です。

なぜかというと、顔料によって、色だけでなく性質も全然違うから!です。

顔料の番号

顔料はPB〇〇のようにPの文字の後にアルファベットと数字が続いた文字列で示されています。

PRが赤、POはオレンジ、PYは黄色、PGは緑、PBは青、PVは紫、PBrが茶色、PBkが黒の顔料を表しています。

それぞれ番号もついています。

基本的に、顔料の番号が同じであれば、名前が違っても同じ色です。絵具の名前はメーカーによって、違う名前がつけられていることも多いのですが、同じ顔料であれば、同じ色です。

カタログだとこんな感じに顔料が書いてあることが多い

ただ、顔料によっては、色の幅があることもあり、いくつか別の色味を持っていることもあります。また、メーカーによっても色が違うこともあります。

ですが、基本的には同じ顔料であれば「同じ色」という認識で間違いないです。

例えばホルベインの「ビリジャンヒュー」はPG7(フタログリーン)の顔料で、ウィンザー&ニュートンでは「ウィンザーグリーン ブルーシェード」、シュミンケホラダムでは「フタログリーン」という名前です。名前は違いますが、全て同じ色です。

かれは
かれは

名前は違うけど、同じ色だというのがややこしいよね

顔料によって色々な性格がある

実は、顔料は色の要素だけではなく、他にも透明度や粒子の細かさ、着色力など、さまざまな要素を持っているのです。同じような色でも、顔料が違えば、違う性質を持っていたりします。

例えば、同じ青であっても、フタロブルー(PB15)は粒子が細かく、透明度が高く染みつきが強い顔料ですが、セルリアンブルー(PB35)は粒子が荒く、半透明、染みつきが弱い顔料です。

この、顔料による特性の違いは、とても大事だったりします。それぞれ、その顔料の特性が、技法への向き不向きに影響するからです。なので、使っている絵具がどのような性質の顔料で構成されているのか、チェックできると、今後の絵具選びに大いに役立つのです。

かれは
かれは

粒子の大きさによって、にじみの広がりやすさが違ったりするよ

ひよこ
ひよこ

透明度は重ね塗りの時に見え方が違ったりするしね。

顔料については、絵具のチューブにも書いてあったりするのですが、カタログは自分の持っていない絵具の顔料も一覧でチェックできるのであると便利です。HPでも見られます。

できれば、複数のメーカーのカタログがあると、比べやすくて便利です。特に同じ色を被り買いするのはもったいないので、同じ顔料のものをチェックしておくといいです。(逆に、同じ色を色々なメーカーで揃えたい時も!)このサイトにも代表的な色の知識をまとめているので、色ごとにチェックして見てください。

顔料でチェックする項目

単一顔料か混合顔料か

チェックするのは、まず単一顔料か、混合顔料か、です。

  • 単一顔料は1つだけの顔料で構成されている絵具
  • 混合顔料は複数の顔料を混ぜて作られている絵具

必ずしも単一顔料が優れている、というわけではないけれど、顔料ごとに特性が異なるので、単一顔料の絵具の方が、その特性を理解しやすい、というメリットがあります。

あと、よく言われているのは、単一顔料同士の方が混色したとき彩度が落ちにくい、ということです。これは、選ぶ絵具の組み合わせにも寄るのですが、一番色が濁らないのは、確かに単一顔料同士の組み合わせになると思います。ただ、色が濁らない色の組み合わせは限られていて、全てがそうというわけではありません。

色によっては混合顔料でないと、作れない色というものも多いです。

初心者には赤、黄色、青は単一顔料の絵具を中心にそろえていくのがおすすめです。

かれは
かれは

単一顔料の方が、色ごとの性格を理解しやすい

透明度

次にチェックするのは顔料の透明度です。カタログに書いていることが多いです。

透明色、半透明色、半不透明色、不透明色とランク分けされています。

誤解されていることが多いのですが、透明水彩の不透明色というのは、そこまで不透明ではないです。透明水彩の不透明色といえば、カドミウムイエローがありますが、不透明水彩のクロームイエローに比べると、全然透明感があります。

不透明色をかたくなに避けられる方もいるのですが、不透明であるという要素を、そこまで気にしなくても大丈夫です。

透明水彩における不透明色は、「しっかりムラなく塗ることができる、混色で負けない、発色が強く鮮やか」などメリットもあるんです。特に不透明の黄色であるカドミウムイエローなどは、黄色という本来なら弱い色なのに強さがあり、発色が強いので、重宝するカラーだったりします。

不透明色の方が、重ね塗りした時に下に塗った色は透けにくいので、色を重ねて見せたい時には透明色の方が生きてくることあります。

もちろんケースバイケースです。

透明色も不透明色もどちらも使ってみるのがおすすめです!

かれは
かれは

カドミウムイエロー、カドミウムオレンジ、カドミウムレッドライト、ベネチアンレッド、コバルトターコイズ、などの不透明色は特にお気に入り。
どの色も、画面に強さを加えてくれるよ♪

ただ、白が入ったパステルカラーは、不透明色の中でも違った特徴があるので、また別の記事で説明したいと思います。

Gカラー(粒子の荒い色)

粒子の荒い色にGマークがついていることがあります。

グラニュレーションカラーといいます。粒状化色といったりもします。

このように粒子の荒い色を指します!

塗ってみると紙目のくぼみに絵具が溜まって、紙の凹凸がはっきり表れています。大きめの粒子が点々と見えたりもします。

粒子の荒い絵具は、あまり混色に向いていません。他の絵具と混ざりきらず、分離してしまうからです。特に粒子の細かい絵具と混ぜたときに分離しやすいです。

逆に流行の分離色を作りたいときには重宝します。

Stカラー(粒子が細かい色)

Gカラー(グラニュレーションカラー)とは反対に粒子の細かい色にも、Stマークがついていることがあります。

ステインカラーといいます。

こちらは粒子が細かいので、紙に色が染みつきやすく、色を取ろうと思っても取れないこともあります。

キナクリドン顔料やフタロシアニン顔料がその代表格です。

このような粒子の細かい色同士は混色するととてもきれいに混ざります。ただ、グラニュレーションカラーと混ぜると分離してしまいます。

こちらの表示も、はっきり明記しているメーカーもありますが、書いていないメーカーも多いです。

名前で何となく分かることが多いです。フタロやキナクリドン、ピロールなどが名前の頭についているものはステインカラーです。

耐光性

耐光性の要素は、作品を長期保存する、展示する、販売する際に、とても気にしなければならないポイントです。特に作品を販売する場合は、注意が必要です。購入した作品を飾っていたら、1年後に色あせしていた、では洒落になりません。

なので、絵具の耐光性の表示をしっかりチェックすることが大切です。

特に赤系は耐光性があまり高くない顔料もあるので、チェックが必要です。

オペラは、鮮やかな赤で、重宝する色味ですが、耐光性がかなり低く、1週間ほど窓に貼っておいただけでかなり色味が落ちましたので、販売する作品には注意が必要です。

今Twitter上で退色実験を行なっています。興味のある方はご覧ください。

顔料の特性その他(実際に塗らないと分からない)

色の幅が広い色と狭い色がある。

色の幅は濃淡で表せる色の幅のことです。濃い部分と淡い部分のギャップです。

例えばプルシャンブルーは色の幅が広いです。濃い部分から淡い部分まで表せる色がとても広いことが分かりますか?

一方セルリアンブルーは色の幅が狭いです。もともと淡い色の顔料なのです、白が入っているわけではありません。

同じ青ですが、元々の色の濃さが違うので、
表せる色の幅がちがう

同じ顔料でも差があることもあります。ウィンザー&ニュートンのパーマネントローズとパーマネントカーマインでは色の幅が違います。両方とも顔料PV19なのですが、パーマネントカーマインの方が、濃さがあり深い色味も持っています。ただ濃い部分は渋く見えますが、そうでもなく、水を加えて濃度を調整していくと…かなり鮮やかです。明るい色味も持っています。

それが実際に絵を使うときにどのような影響があるのかというと…

色幅の広い色は

  • 一色で様々な色調を持っていて、一人何役もこなす
  • その代わり濃度の調節が難しく、淡い色を塗るときムラになったりする

色幅の狭い色は

  • 表せる色の種類は少ない
  • そのかわり、同じ色で均一に塗りやすい

という特色があります。白が混ざったパステルカラーは、今お話しした色よりさらに、色幅の狭い色に入ると思います。均一に塗りやすいけれど、用途も限られるというのが特徴ですね。

濃い部分と薄い部分で色調が変わる色がある

淡く塗ると鮮やかなのに、濃く塗ると鈍い色、という不思議な色もあります。濃い部分と淡い部分で色調が明らかに違うのです。

これは透明感が強すぎる色に多いです。初めて塗ったときは不思議すぎて、とても驚きました。

例えばトランスペアレントイエロー。

淡い部分は結構ドギツイ鮮やかな黄色。でも濃く塗ると黄土色。

ええっ!?
なんかカレー粉みたいな色だね…

グリーンゴールドも似ています。濃い部分はオリーブ色なんですが、薄めるとレモンイエローになります。

ターナーのパーマネントスカーレットも濃い部分と淡い部分で色調がちょっと違います。

濃い部分は朱色(結構オレンジっぽい)のに淡くするとピンク!これは嬉しい誤算だけど!

このような色もあるのです。薄く塗った時と濃く塗った時で色が全然違うので、面白いですし、それを生かした表現もありそうです。

プルシャンブルーも濃い部分は渋みのある紺色なのですが、薄めていくと意外と明るい水色になります。

プルシャンブルーも薄めていくと意外と明るい水色に

色調が変わる色は塗ってみるまで分かりません

カタログにも書いていないことなので、ぜひ実際に塗って確かめてみてください。

まとめ

というわけで、顔料による色の特性について、思いつくままに語ってみました。

他にもいくつかあったような?思いついたら追記します。

顔料のこと(カタログから分かること)

  • 単一顔料、混合顔料
  • 透明度
  • 粒子の大きさ(グラニュレーションカラー、ステインカラー)
  • 耐光性

顔料のこと(塗ってみて分かること)

  • 色の幅
  • 濃い部分と薄い部分で色調が変わる