今回は透明水彩には欠かせない、基本の青、フタロブルーについてのお話です。透明水彩初心者は必見です。
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思ったより知名度がない?フタロブルー
皆さんはフタロブルーをご存知でしょうか?フタロブルーというのはフタロシアニン顔料に由来する名前なので、少しピンときにくいかもしれません。
ただホルベインの「ピーコックブルー」や「マンガニースブルー」、あるいは「セルリアンブルーヒュー」のような名前なら聞いたことがあるかもしれません。これらの色はフタロブルー(PB15)がベースになっている青です。

どんな色かというと、色の濃い水色、プリンターのインクの「シアン」の色です。
このフタロブルーが今回の主役です。
フタロブルーはとても有能な顔料なので、ありとあらゆる場面で遭遇するのですが、「フタロブルー」という名前ではあまり知られていません。なので、今回フタロブルーを徹底解剖していきたいと思っています。
フタロブルー(PB15)の特徴
フタロブルーは、鮮やかな青の顔料です。
フタロブルーの顔料はPB15という顔料ですが、PB15は色味にいくつかの種類があり、1色ではありません。例えば、フタロブルーレッドシェードとフタロブルーイエローシェードのような感じです。どちらもPB15ではあるのですが、色を比べてみると、かなり違いがあります。他のブルーは同じ顔料で同じ色味なので、ちょっとした違いはありますが、色は大体同じです。ですが、フタロブルーは同じPB15でも、違う色がいくつかある事が多いので、ご紹介したいと思います。
今回の記事は、私が各メーカーのカタログから読み取っていることを元に書いているので、憶測も入っています。なので、直接メーカーの方からお話を聞く機会があれば、また追記したいと思っています。
フタロブルーの特徴
フタロブルーはPB15というフタロシアニン顔料からできています。このPB15という顔料は色々な色調の絵具に混ぜられていることが多いので、ぜひ覚えておくと便利です。
フタロブルーはとっても優秀な青。何がそんなに優秀なのかというと…
- とても鮮やか
- 粒子が細かく滑らか
- 着色力が強く、発色もいい
- 対光性が高い
- 値段がとても安い
なんだかすごい!

詳しく説明していきましょう。
①鮮やか
フタロブルーの青は色相環の中では、黄色よりの青です。(ウルトラマリンやコバルトブルーに比べて、かなり黄色より)この黄色よりの鮮やかな青は、三原色のC(シアン)に最も近いのですが、この色はフタロブルーしかありません。ここが代替がきかないポイントの1つです。

ただ、透明水彩に関していうと、紙の奥に色が浸透してしまうこともあって、パレットで溶いた鮮やかな青が、紙の上では少し沈んでしまうことがあります。
②粒子が細かく滑らか
特徴は粒子が細かく、滑らかな色だということです。滑らかなので、塗った時に紙の凹凸を反映する事なく、ムラなくきれいに塗る事ができます。カラーインクのような感じです。

粒子が細かいので、混色にも向きやすく、分離する事なく、きれいに色を混ぜる事ができます。
③着色力が強く、発色も強い
ま着色力が強く、紙に染み付くので重ね塗りしても色が動きにくいです。

また発色がとても強く、色が濃いです。なので、少量筆に含ませただけで、濃く色を伸ばす事が出来ます。割と燃費の良い色なので、パレットの中で中々なくなりません。ただ、この発色の強さが仇になることもあり、他の色と混色すると、色が濃く強くなりすぎてしまいます。
なので、意外と扱いが難しい面もあります。
④対光性が高い
とても対光性が高いです。一度、オペラの対光性実験をしたくて、そのときに実験的にフタロブルーとウルトラマリンも一緒に日光にさらしてみたのですが、まっっったく色が変化しませんでした。

どちらが日に当たっていたのか分からないですよね。4ヶ月くらい夏場に直射日光に当たっていたのですが…
もちろんメーカーの対光性試験も高レベルでクリアしています。
⑤値段がとても安い
こんなに優秀なのに、値段がとても安い!これは顔料自体の価格が安いからだそうです。フタロ系の色は鮮やかで滑らかなのにも関わらず、あまりに価格が安いため、実は絵具だけではなく、色々な商品の色付けに使われています。
世の中で目にする青は大体フタロブルーです。
フタロブルーにはいくつか種類がある
フタロブルーの顔料はPB15という顔料ですが、PB15は色味にいくつかの種類があり、1色ではありません。例えば、フタロブルーレッドシェードとフタロブルーイエローシェードのような感じです。
どちらもPB15ではあるのですが、色を比べてみると、ちょっと違いがあります。
顔料をよく見ると
PB15:3 フタロブルー(イエローシェード)
PB15:6 フタロブルー(レッドシェード)
のようにPB15の中でも、2つに分かれていることが多いです。(メーカーによってPB15というざっくりした表記しかないメーカーもある)
また、よくよく絵具のパンフレットを見ていくと、一部のメーカーにはPB15:1やPB15:4の絵具もあり、一口にPB15といっても色々種類があるようです。
メーカーごとの分類、代表的なフタロブルー
この2つが代表的なフタロブルーです。
PB15:3 フタロブルー(イエローシェード)

PB15:6 フタロブルー(レッドシェード)

| メーカー | PB15:3 | PB15:6 |
|---|---|---|
| ホルベイン | フタロブルーイエローシェード、 ピーコックブルー、マンガニーズブルーヒュー | フタロブルーレッドシェード |
| W&N | ウィンザーブルー(グリーンシェード) | ウィンザーブルー (レッドシェード) |
| シュミンケ | ヘリオセルリアン、セルリアンブルーヒュー | フタロサファイアブルー |
| ターナー | フタロブルーグリーンシェード | フタロブルーレッドシェード |
| マイメリ | プライマリーブルーシアン | |
| セヌリエ | フタロシアニンブルー | ブルーセヌリエ |
| レンブラント | フタロブルーグリーン | フタロブルーレッド |
メーカーごとに名前が違うのものもあるので、要確認です。
ホルベインのピーコックブルーとシュミンケホラダムのセルリアンブルーヒューは単一顔料ではないのですが、同じような感じに使う事ができるので、特別に表の中に入れています。
PB15:3 シアン 黄色よりの鮮やかなブルー
PB15:3はちょうど水色を濃くしたような色で、プリンターのインクのシアンに近い色です。
鮮やかな黄色よりの青です。混色で絶対に作ることのできない色で、パレットに入れておくと便利です。三原色の青(シアン)に一番近い色です。

このうちシュミンケのセルリアンブルートーンは、少しだけ白が混ざっていてフタロブルーの色味の強さが抑えられていてとても使いやすい色になっています(私も愛用していて、リピートしています)どのくらい白が入っているか分かりませんが、おそらく少しです。不透明色ではなく、透明色で、色もほぼ同じです。
ホルベインのピーコックブルーは、フタロブルーに緑が、混ぜられた混合色ですが、シュミンケのセルリアンブルーヒューとほぼ同じ色です。色味も強くないですし、混合色にもかかわらず、混色してみても、色がくすんだりしなかったので、このリストの中に入れました。とても不思議ですが、おすすめの1色です。
PB15:6 中間の青 より赤みの鮮やかなブルー
PB15:3よりも赤よりの青なのですが、ウルトラマリンやコバルトブルーよりは黄色よりの青です。つまりフタロブルーイエローシェードとウルトラマリンブルーの中間くらいに位置するブルーです。

この色を形容するのは難しいのですが、私たちが「青」と言って思い浮かべる「一般的な青」に一番近いイメージの青です。ニュートラルな青です。色は鮮やかなのですが、色味のせいで少し落ち着いた色に感じます。
ザ・青!真っ青!って感じ。
伝わる?
赤みがかった青というと、ウルトラマリンやコバルトブルーが一般的で、色も鮮やかです。でもウルトラマリンもコバルトブルーも粒子の荒い色で、他の色と混色した時に分離してしまう傾向にあります。その点、このフタロブルーレッドシェード(PB15:6)は粒子の細かい色なので、混色にも向いていて、重宝します。(特に鮮やかな紫を作るのにとてもよいです)
ただ、他の青と近い色味なので、フタロブルー(イエローシェード)PB15:3に比べると優先度は減ります。
マイメリではこの色はないみたいです(意外!)
その他のフタロブルー,PB15:1、PB15:4
PB15:3(フタロブルーイエローシェード)とPB15:6(フタロブルーレッドシェード)はどのメーカーにもあるような一般的な色です。どちらかパレットに入れておくと便利かな、と思います。
それ以外にもフタロブルーって種類ないの?
あるよ。結構レアかも。
PB15:1
シュミンケホラダム:フタロブルー
マイメリブルー:ベルリンブルー
ターナー:モナトラスブルー
これら3色がPB15:1の顔料で、また違う色味です。シュミンケホラダムのフタロブルーの方が色が淡く、マリメリのベルリンブルーの方が色が濃いように感じます。シュミンケの「フタロブルー」は私の愛用色で、別の記事にまとめているのでどうぞ。

PB15:4
マイメリのフタロターコイズという色です。こちらは、青というより、だいぶグリーンに寄った青緑です。

染みつきが強く、パレットがすぐに染まってしまいます。
美しい色味ですが、ホルベインのマリンブルー(PB16)の色合いとちょっと似ているので、PB16の絵具がパレットに入っている場合は、用途がちょっと被ってしまうかもしれません。
終わりに
というわけで、ややこしいフタロブルーについて語ってみました。メーカーによって名前が違ったりすると、別の色に思えてきたりするのですが、そのメーカーにしかないオリジナルの色というのは意外に少ないです。
フタロブルーは、定番色の1つですが、ちょっと色が強すぎるのか、扱いが難しい色でもあります。
色味自体は基本色なのですが、12色セットにも入っていないことが多いのは、きれいに塗るのが難しい色だからだと思います。
ただ、安価でありながら、鮮やかさのある顔料なので、色々な混合色にも使われています。
他にも青の記事がありますのでどうぞ〜






































